[PR]

 新型コロナの感染リスクを背負って働く人に、感謝を示す動きが広がっています。一方、こうした「感謝行動」を「美談にすり替えていいのか」と批判する声もあります。「ありがとう」ってどんな言葉なんでしょうか。

「ありがとう」への批判の裏に 漫画家・ひうらさとるさん

 「無事な自分に、何かできることはないか」。非常時には、そう感じます。原体験は阪神大震災です。私は東京で安全に過ごしているのに、出身地の関西では大変な目にあっている人がたくさんいる。寄付やボランティアには気恥ずかしさがあったのですが、自然に「何かしたい」という思いが生まれました。

 東日本大震災後、ボランティア経験者からの助言で、漫画家の友人たちに声をかけて被災者の体験をマンガで残す企画を立ち上げました。「当事者」ではないので、「私たちが描いていいのか」という迷いもありました。不快に思う人がいたり、気付かないうちに誰かを傷つけてしまったりするかもしれない。過剰な演出をしないよう注意しましたが、モデルになってくれた方たちは喜んでくれました。

 新型コロナでは、医療従事者への「ありがとう」の思いを表現したいと考え、4月に「#GratefulForTheHeroes絵(ヒーローに感謝の絵を)」として、医療従事者を描いたイラストの投稿をSNSで呼びかけました。

 きっかけは、医療従事者が保育園の利用を断られたというニュースに憤りを感じていた時にツイッターで目にした、医師の家族の方の投稿です。当時、SNSには疫病よけのお守りとして妖怪「アマビエ」があふれていましたが、ツイートには「昼夜頑張っている夫の絵も描いて欲しい」とありました。つらい目にあっているかもしれないご家族を少しでも明るい気持ちにできれば。そう思いました。投稿が広がり、「うれしい」「力になった」といった反応がたくさんありました。

拡大する写真・図版長髪に鳥のようなくちばし、うろこのある胴体、毛むくじゃらの3本足が特徴の「アマビエ」=京都大学付属図書館所蔵

 でも結果的に、10日ほどで呼びかけの投稿は削除しました。看護師の方から「ありがたいけど、この企画が大嫌いだ」というツイートが来ました。現場はそこまで切羽詰まっていたのでしょう。少しでも元気になってもらいたいからと、明るく「たたえる」というイメージで描いたのですが、疲弊している人にとっては、逆にプレッシャーになったのかもしれません。その後、医療従事者の方以外からの批判も相次ぎました。

 投稿されたイラストは、思いのこもったものばかりでした。現場の方々の「励まされた」という声にも重みがあった。削除に当たっては謝罪文も投稿しました。私の想像力が足りなかったことに対する謝罪です。

 反省することも多い出来事でし…

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

この記事は有料会員記事有料会員記事です。

2種類有料会員記事会員記事の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら