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 今年で開業100年を迎える京都府舞鶴市の銭湯、日の出湯が国の登録有形文化財に登録される見通しとなった。国の文化審議会が17日、文部科学相に答申した。市内の別の銭湯も2018年に登録済み。文化庁によると、現役の銭湯が複数、登録される市区町村はほかにない。舞鶴の魅力がさらに増しそうだ。

 日の出湯は、舞鶴湾に面した吉原地区にある。江戸時代から漁師町として栄え、家屋裏の水路に船が並ぶさまを「ベネチアのようだ」と評する人も多い。

 昔ながらの町家が連なる細い通りにたたずむ切り妻造りの建物。紅白の垂れ幕が目を引く。のれんをくぐると、女湯との間にある番台から高橋一郎さん(71)が「お~きに」。入浴料450円を置き、脱衣場へ。裸での取材に向かった。

 脱衣場には、60年前に導入されて、今も10円で動く旧式のマッサージチェアが鎮座する。コーヒー牛乳は売っていなかったが、レトロな雰囲気が漂う。

 浴場は、約70年前の改修で石造りからタイルになったという。洗い場の中央に浴槽。体を沈めた。やさしい肌触りのお湯が全身をほぐしていく。天井を見上げると、創業当時からあるという明かり取りから、夕暮れの光が差しこんでいた。

 お湯は舞鶴湾を見下ろす五老ケ岳の伏流水をくみ上げ、使っている。高橋さんは「お湯が軟らかくて気持ちがいいとよく言われる」と教えてくれた。

「昔は大勢の漁師で…」

 日の出湯の建物が建てられたのは1917(大正6)年だ。もとは町内の共同浴場。20年10月に高橋さんの祖父が引き継いで開業した。母親、艶(つや)さん(96)が経営者。高橋さんは11年前に小学校教員を定年退職した後、手伝っている。

 「昔は大勢の漁師でにぎわった。けんかしているのかと勘違いするほど声が大きく、元気だった」と高橋さんは往時を振り返る。

 周囲の景観に溶け込んだたたずまいが国に評価され、今回答申された。

 同市では、明治36(1903)年創業の若の湯も国登録有形文化財。両方を巡る銭湯ファンも多い。市によると、市内には60年代に銭湯が二十数軒あったが、今はこの2軒だけだ。

 高橋さんは「日の出湯を営業するのは当たり前のこと。文化財になるとは思っていなかったので、驚きとうれしさでいっぱい。『大事にしなさい』と激励されているように感じる」と話した。(大久保直樹)

■京都府内の登録有形文化財(建…

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