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渡航後に無給待機→説明求めた看護師解雇 東京女子医大

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編集委員・大久保真紀
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 東京女子医科大学病院(東京都新宿区)で4月から新人看護師として働き始めたばかりの女性(21)が、6月末で解雇された。新型コロナウイルスの感染が拡大していた2月末から3月はじめに海外への卒業旅行をした3週間後、病院から無給での自宅待機や自費でのPCR検査を求められた。こうした対応の詳しい理由を説明してほしいと伝えたところ、「勤務態度が芳しくない」などとみなされたという。

 女性は、東京女子医大看護専門学校(東京都荒川区)で学んだ。国家試験を終え、卒業を待つだけだった2月27日、米国ロサンゼルスに卒業旅行に出かけた。専門学校で2月中旬に海外渡航は控えるように言われたが、3カ月前から計画していたこともあり出発した。現地の友人宅に滞在し、3月5日に帰国。海外へ渡航したことは、3月下旬にあった病院からのアンケートに答えて伝えた。

 病院の寮に転居し、初出勤に備えていた3月31日夜、病院から電話で3週間の自宅待機を言い渡された。さらに自費(5万5千円)でPCR検査を受けるよう指示された。

 検査の結果は陰性。女性は4月23日から働き始めた。ところが5月に入り、病院から①海外渡航についての弁明書か始末書の提出②PCR検査の自費負担③自宅待機中は無給――の3点を自宅待機解除の要件として同意するという内容の書面の提出を求められた。女性によると、就職前に海外渡航した新人看護師は30人以上おり、病院側に対応をただす質問が相次いでいたという。

 女性は5月末に同意書を提出。同時に、法的根拠などを丁寧に説明してほしいと伝えた。すると3日後、6月30日に雇用契約を終了するとの通知書が届いた。通知書には、「海外渡航したことやPCR検査代金の自己負担にかかわる同意書の提出までの経緯などに鑑み、勤務態度が芳しくないものと判断した」などと書かれていた。

 寮からの退去も命じられ、4年働けば免除されることになっていた看護専門学校時代の奨学金計108万円の返却も求められた。

 東京女子医大は取材に対し、「双方の弁護士間で折衝中の事案であり、コメントは控えさせていただく」(広報室)としている。

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