拡大する写真・図版手作りのギョーザをホットプレートに並べる中卓也さん(右)とスタッフ=横浜市

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 生きる意味とは? 「幸せ」とは? そう問い続け、「居場所」を探し求める障害のある人たちがいます。相模原市の「津久井やまゆり園」で入所者19人の命が奪われてから4年。そして新型コロナウイルスで暮らしは一変。いま何を思い、どう乗り越えようとしているのでしょうか。

やまゆり園事件 自分について考えた

 さくさくさく。キャベツを包丁で刻む音が響く。障害のある人が通う生活介護事業所「でんぱた」(横浜市)。7月初めの午前10時、中卓也さん(32)はエプロンをつけて、スタッフと2人でギョーザの下準備を始めた。

 普段の昼食は事業所が用意するお弁当だが、金曜は「でんぱた飯」。仲間の男性4人と話し合ってメニューを決め、料理が得意な中さんが調理を担う。中さんは知的障害を伴う自閉症と視野障害がある。

拡大する写真・図版「でんぱた」から家に帰る中卓也さん。外出時は、手に白杖(はくじょう)を持つ=横浜市

 この日、中さんが昼ご飯を作る間、4人の仲間は畑で作業。中さんは天気に左右される畑作業のような見通しが立たないことが苦手なので、少しずつ慣れようとしているところだ。まずは週1回程度から。作業の中では、トマトの芽かきは好き、でも雑草取りはおっくうに感じるという。

 正午過ぎ、収穫したトマトやキュウリを携え、畑に出ていた仲間が戻って来た。サラダ作りに加わる人、好きな菓子の名をあげ話し続ける人、黙って配膳する人……。重い知的障害のある男性(25)は中さんに、親しみを込めた頭突きをしてきた。中さんは笑顔で返し、「一緒に遊ぼうと誘っているみたい」。

 料理を「おいしい」と言ってくれる仲間やスタッフと食卓を囲み、後片付けをし、翌週のメニューを話し合い、「また来週」と帰途につく。

 「こうして何事もなく、一日が過ぎていく。幸せってこういうことなのかな」

 19人の障害者が相模原市の入所施設「津久井やまゆり園」で刺殺された2016年7月26日。事件を報じるテレビに釘付けになった。救急車が並び、担架で運ばれていく障害者たち。「施設にいたら、僕も殺されていたかもしれない」と身がすくんだ。「障害者は不幸しか作れない」という容疑者(当時)の言葉に思った。自分は人に幸せを与えることができているのだろうか?

 歩んできた道のりを振り返ると、普通学級に通っていた小中校時代、コミュニケーションがうまくとれず友だちの気分を害することがあった。一般企業に就職したが周囲のペースについていけずに退職し、「もっといろんなことができる」という高校時代の先生の期待に沿えなかった。退職後は20歳から3年間ひきこもり、親に心配をかけた……。容疑者の言葉を否定する自信がなかった。

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