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 全国各地で開かれている独自大会。甲子園に道は続いていなくとも最後まで戦い抜いた球児たちへ、指導者や仲間が送ったメッセージを集めた。

 松江高専(島根)・小林悠人主将(3年)

 延長十回タイブレークの末、悪送球でサヨナラ負け。兵庫や広島など県外生も多いが、寮は4月から閉まったままで、対面授業は再開していない。6月の練習再開後は土日に2、3時間、実家から保護者の送迎で集まって練習したが、中にはこの日の試合に参加できなかった3年生選手もいた。「最初は集まれないかと思っていたけど、練習ができて試合に出られて幸運だった。本当にいい試合ができてよかった」

 軽米(かるまい)(岩手)・小林柊陽(しゅうや)主将(3年)

 1年生4人が入部して部員11人となり、2年ぶりに単独チームとして出場。地区予選を勝ち抜いて県大会に進んだ。岩手に七回コールド負けしたものの、表情は晴れやか。「念願の単独チームで最後まで笑顔でできてよかった。小学生の頃からほぼ同じメンバーで野球をやって支え合ってきた。(3年生4人で)進路でも励まし合いながら、次のステップへ歩んでいきたい」

 京都工学院・松本巧選手(3年)

 強豪・龍谷大平安と対戦した12日、安打と敵失で2回出塁。得点にはつながらなかったが、4番打者としての意地を見せた。

 昨年11月に1型糖尿病を発症した。部員に内緒で入院し、年明けに復帰。病気を告白すると「これから支えていくから」と笑顔で迎えられた。「一緒にいられた時間は長くないけど、本当に感謝している。元気に自分たちらしく戦えた」

 岩美(鳥取)・前田九龍(くりゅう)選手

 チーム唯一の3年生、沢和輝投手を好リードした2年生捕手。八回2死二塁のピンチでは、要求通りの外角直球で空振り三振を奪い、思わずミットでハイタッチをした。「3年生1人だから自分たちがサポートすると決めてきた。教わったことはたくさんある。内角低めの打ち方も、練習中に後ろに立って何度も教えてくれた。本当は勝って花を添えたかった。来夏は和輝さんの分まで勝ちます」

 金足農(秋田)佐々木聖友選手

 九回1死走者なしから、左前へチーム初安打を放つ。夏の甲子園で準優勝したときは1年生。先輩たちの背中を追い続けてきた日々だった。「練習が再開してからは、(準優勝メンバーの高橋)佑輔さんや、(佐々木)大夢さんら4、5人が毎日グラウンドに来てくれた。1年生のときより、話すことができた。『チーム一丸になっていけ』と言われていたことはできたけど、勝って恩返ししたかった」

 花巻北・八重畑陸選手

 花巻農との試合は、1番打者として一回から3打席連続安打。九回の第5打席は空振り三振を喫するが、後続が3連打で1点を返した。「九回は自分が塁に出なきゃいけない、と思いすぎて、追い込まれてから、いいスイングができなかった。でも、自分が打てなくても同級生や後輩がつなげてくれた。部活を続けるか受験勉強に移るか、みんなで話し合ったこともあったけど、最後まで試合できてよかった。ありがとう」

 名南工・武藤翔輝投手

 中京大中京戦で八回途中7失点でコールド負け。再三の外野の好守にも支えられ、あと少しで、九回まで試合が出来る粘投だった。「周りは当然コールド負けだと思っていたと思う。でも、勝ちたかった。僕がよく打たれるから、外野のみんなが背走を練習してくれた。今日はその成果に助けられた。こんなふがいない僕を、中京を相手にぎりぎりまで頑張れる投手に育ててくれてありがとう」

 出雲農林(島根)・唐島一将監督

 1点を追う九回1死一、二塁、3年生でただ一人の控え選手を代打に送り、3年生全10人が出場。だが、2連続三振で好機を逃して敗退した。「思い出づくり」ではないという。「強打が魅力なので、あの場面で彼を出した。10人の3年生が徐々に力を付けて、『3年生全員でゲームをやろう』と私に思わせた。なかなか全員が戦力になるのは難しいので、立派だったと思う」

 名経大高蔵・美濃島惇監督

 前監督が不祥事で退任したことを受け、2019年4月に系列校から赴任。この日は1回戦で愛知商に敗れた。「3年生を最後に勝たせてあげたかった。1年のときにいろいろあって、その後に監督になったけど、正直、僕でよかったのか今でも考える。最初は道具がどこにあるかも分からなかった。そんな僕を受け入れてくれて、感謝しかない。もし、この子たちが高校野球を続ける機会を与えられたのなら、よかったと思える」