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 コロナ禍にあっても音楽家に活躍の場を提供しようと、NPO法人「松江音楽協会」(原敏理事長)がオンラインを活用した音楽の発信事業に力を入れている。松江市の市総合文化センター・プラバホールの指定管理者を務めていることから、同ホールを活用して演奏をライブ配信したり、収録した動画をユーチューブで公開したりする。

 7月から、プラバホールの大ホールを演奏のライブ配信の場として提供する事業を始めた。協会は4月から約30万円をかけて、貸し出し用のビデオカメラやパソコン、映像を合成するための布などを購入。6月には実際に大ホールに設置して、流れを確認した。

 音楽家らは大ホールやライブ配信用の機材の利用料金を支払い、ユーチューブを用いた無料のライブ配信や、収益を得られる有料の動画配信サービスを利用して、演奏をライブ配信することができるという。

 「今後、感染の第2、3波が来ても、音楽文化を途切れさせず、プラバホールを音楽発信の中心として機能させられるよう、今やれることをやりたい。初めての取り組みなので、配線や映像の切り替えなど難しい部分もあるが、準備を重ねて、音楽家が演奏に集中できる環境を整えたい」。同協会の大隅宏明事務局長(54)はそう語る。

 ライブ配信に先行し、6月から、山陰で活動する音楽家の演奏を大ホールで収録した動画「山陰の名手たち」を同協会のユーチューブチャンネルで公開し始めた。初回の動画で、ハープ奏者松村多嘉代さんと共に演奏した松江市のバイオリニスト・辺見康孝さん(48)は「プラバホールという素晴らしい環境で撮影できるのは演奏家として非常にうれしい」と語る。

 取り組みの背景には、ホールと音楽家が置かれた厳しい現状がある。プラバホールは4月11日~5月19日休館。3~7月で計約40の演奏会が中止になった。開館した現在も、密集を避けるため、収容人数約750人の大ホールに最大で205人しか収容できない。

 山陰の音楽家も苦境に立たされている。

 同会が、コロナ禍での音楽活動について調べようと5月に実施した山陰の音楽家へのアンケート(5月10~24日、86人が回答)では8割以上音楽活動が減少した人が約80%に上ったという。

 辺見さんは、「音楽の本当のすばらしさは生の演奏にあると思う。演奏のライブ配信やユーチューブの動画をきっかけに、生の演奏を聴きたいと思う人が増えれば」と語る。大隅さんも「ネットを通じて演奏を楽しんでもらい、収束後にホールに実際に足を運んでもらうきっかけにしたい」と意気込む。(浪間新太)

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