聞き手=編集委員・高橋牧子
ドルチェ&ガッバーナは15日、ミラノで2021年春夏メンズのランウェーショーを行い、新作を映像で発表した。会場は同ブランドがコロナウイルス関連で由縁のある大学で、観客だけでなく自分たちもマスクをして登場。ショー後、デザイナーのドメニコ・ドルチェとステファノ・ガッバーナが朝日新聞の独占インタビューに書面で応じ、コロナとファッションの関わりなどについて答えた。一部に2人連名での答えがあり、質問に対して、互いに争うように言葉を継ぎあう様子が思い浮かんだ。
――今回のショーで「1960年代のデザインと建築」をテーマにしたわけは?
ステファノ・ガッバーナ(以下SG) 今回のコレクションは、ドメニコと僕がひと目ぼれした素晴らしい場所、イタリアのソレント市にあるパルコ・デイ・プリンチピ・ホテルにインスパイアされたものです。イタリアの偉大な建築家ジオ・ポンティが手掛けた建物。有名なアマルフィ海岸の雰囲気に包まれたとても魅惑的な場所です。60年代特有の色や陶器、洗練された空間が、私たちの心と魂を過去にいざないました。色やプリント柄は、ホテルの青と白の陶器から着想を得ていて、ゴールドのアクセントで輝きを与えました。ホテルのシャンデリアやイス、タイルや木製の内装の色合いや柄もとりいれました。
ドメニコ・ドルチェ(以下DD) 建築やデザインは、私たちにとって常にとても重要な創造の源なのです。
――着る人や見る人に伝えたかったことは何ですか。
SG&DD 今回のスタイルは、オーバーサイズなボリューム感、異なる素材の組み合わせや重なり合いが特徴で、それはまさにテーラリングをより丹念に作りこんでいくことでした。ジャケットは、バイカラー(2色)。または、ボトム部分にニットを用いた白いストライプのジャケットのように、コントラストを作り出す二つの素材使いをしています。まさにインスピレーションを得た場所同様に、複雑で、エレガントで、とても洗練された美を伝えられたらと思いました。
――メンズにおいての「エレガンス」とは?
DD&SG 男性も女性と同じように、おしゃれに気をつかい、シチュエーションに合わせて装うこと。私たちは、時代を超越したタイムレスな紳士の装いを代弁する、イタリアの仕立て技術の伝統を大切にしながら仕事をしているつもりです。私たちにとって、エレガンス、スタイル、サルトリアという三つの言葉は、常に創造性を構成する基準であり価値観。シンプルであることやクラシックなラインを尊重しながら、常に未来や革新に目を向けていく。プリントやディテール、特別な装飾が現代的スピリットを与え、新しさをもたらすのだと信じます。
――今回のデジタル発表で、ドルチェ&ガッバーナであれば、凝った映像が作れたはずなのに、イタリア在住の観客を呼んだリアルなショーにこだわったのはなぜですか。ランウェーショーは究極の見せ方、ビジネスモデルということでしょうか?
記事の後半では、ロックダウン中のミラノでの生活や、コロナ禍での生き方、ファッションの意味などを語ってくれました。
DD 観客や出席者全員にとっ…
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朝日新聞社会部