拡大する写真・図版今こそ聞きたいDX デザイン・岩見梨絵

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 タレントの指原莉乃さんが7月14日、豪雨で被害を受けた被災地を支援するため、自身の出身地である大分県と日本赤十字社に計2千万円を寄付した。指原さんはツイッターでこの寄付について、こうつづった。

 〈偽善・売名だと言われても、私の行動で「もう少し踏ん張ろう」と思ってくれる被災された方が1人でもいたら、何か被災した場所・人の力になりたいと思ってくれる人が1人でもいたらなと思っています〉

拡大する写真・図版寄付についての指原莉乃さんのツイート

 指原さんが指摘するように、著名人が慈善活動や寄付をすると、「偽善」や「売名」といった批判が一部で見られる。過去には、紛争地の子どもたちへの教育支援をする女優の藤原紀香さんが「99%自己満足でも構わない。1%でも人の役に立ってくれたら」と語り、それに対して「100%自己満だ」「ボランティアをやっていますというアピールだ」といった反発がネット上に広がった。

 こうした批判は程度の差はあれ、対象が著名人ではなくても起きる。記者(32)も高校時代に慈善活動に携わったとき、友人から「自己満足じゃないか」と指摘され、モヤモヤした気持ちになったことがある。

 「正義」について研究している名古屋市立大学大学院の伊藤恭彦教授(現代政治哲学)は「偽善でも、自己満足でもいい。ただし、寄付や慈善活動だけに頼っていてはダメ」と話す。どういうことなのか、話を聞いた。

拡大する写真・図版名古屋市立大学大学院の伊藤恭彦教授(現代政治哲学)=本人提供

 いとう・やすひこ 名古屋市立大学大学院教授。専門は現代政治哲学で、「正義」について研究している。国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)を地域や企業と連携して推進する活動にも取り組んでいる。著書に「貧困の放置は罪なのか」(人文書院)や「さもしい人間-正義をさがす哲学」(新潮社)。

――著名人の寄付や慈善活動に対して、一部の人から「売名」「偽善」と批判があがります。どう思いますか?

 動機は問題にすべきではありません。寄付や慈善活動には「困っている人のために支援したい」というピュアな気持ち以外にも、道徳的な満足感が欲しい、といった動機も多かれ少なかれあるでしょう。しかし、こうした動機を問題にしていたら、非常にぎすぎすした社会になってしまいます。

 むしろ大事なのは結果です。寄付であれば、必要とされているところにお金が流れていくわけですから。これは社会的には非常に有用なことです。偽善であれ自己満足であれ、寄付や慈善活動は必要なことですし、非常に崇高な行為として位置づけていかなければいけません。

正義感が招く社会の分断

――それでも批判はなくなりません。なぜでしょう?

 こうした批判は、その人の正義…

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