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 新型コロナウイルスの影響で延期された東京五輪の開幕まで23日で1年となる。福島市の県営あづま球場でのソフトボールと野球の開催(計7試合)は引き継がれ、県は「復興五輪」の仕切り直しに取り組むが、感染への不安が続く中、歓迎ムードは1年前とはすっかり変わっている。

 当初の大会1年前だった昨年のこの時期、約350人が参加した福島市での「カウントダウンイベント」で盛り上げたが、今回はコロナで状況が一変。「日本プロ野球OBクラブ」が23日、矢吹町出身の中畑清さんら16人のOBが参加し、あづま球場で子供向けの野球教室など(一般の入場不可)を開くが、県は人が集まるイベントの開催を避けた。

 県の担当者は「イベントをやる状況ではなく、情報をこまめに発信していきたい」と説明。23日から、県内の出場内定選手ら11人のメッセージ動画を県のホームページにアップするほか、開幕までの日数を表示する県内8カ所の「カウントダウンボード」を再点灯する。

 内堀雅雄知事は20日の記者会見で、五輪に向けた盛り上げについて「新型コロナウイルスや大会運営の見直し状況を注視しながら取り組む必要がある」とし、「23日は集客を伴わない形で実施する」と述べた。

 来年、予定通り五輪が開催されても、見直しが検討される行事もある。聖火リレーはコースとランナーは基本的に維持されるが、その日の最終到着地点で開かれる式典は簡素化が検討され、ランナーの後方を大勢で一緒に走る「サポートランナー」も見直しの対象になる可能性がある。

 県内で活動する1781人の「都市ボランティア」については、県は規模を維持する方針。担当者は「来年、開催への姿が見えてきた段階で、本人の意思を確認し、地域ごとの研修を実施したい」と話す。

 「レガシー(遺産)創出につながる」と五輪を位置づける福島市も、見直しに直面する。ソフトボールが始まる前夜から10日間、JR福島駅前に大型モニターを設置し、中継や特産品のPRなどをする「ライブサイト」を開催して計10万人を集客する計画だった。

 市の担当者は「人を密集させてしまうので状況に応じて再構築する。withコロナが求められており、市民の共感を意識しないといけない」と話す。

 ホストタウン(ベトナムとスイス)の活動についても対応に苦慮する。「相手国とメールで連絡を取り、つながりを維持したい。市内には約300人のベトナム人がいるので、一緒に何かできないか、仕掛けを考えていきたい」と話す。

     ◇

 聖火ランナーの一人、本宮市の会社員松本襟加さん(30)は「直前で延期になった時は、またあと1年という不思議な感じがした」と振り返り、今は「楽しみよりも大丈夫かなという気持ち」と明かす。本番用に購入したシューズはまだ履いていない。「昨年の台風被害の支援に対する感謝、そして本宮の元気を伝えたい思いは今も同じ。地元の皆さんの前で、新品の靴で走りたいですね」

 あづま球場から車で約10分と近く、WiFi(ワイファイ)などの整備を進めてきた土湯温泉観光協会の池田和也事務局長(62)は「1年後に期待を持たせてくれているが、今は五輪どころではない」と語る。コロナ禍で約4割を占める関東方面の客が激減し、先月の客数は例年の半分ほど。「いかに県内の人に動いてもらって宿泊していただくかで頭がいっぱいです」

 「『果たして五輪ができるの?』というのが正直な思い」としつつ、「開催できたら、福島の復興を発信する『復興五輪』の色が薄まり、コロナからの復興の大会になっても、しょうがいないですよね」と話す。(深津弘)

県営あづま球場での五輪競技日程

《2021年》

7月21日 ソフトボール(日本戦など3試合)

  22日 同上

  28日 野球(日本戦1試合)

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