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 人間にとって、「働くこと」「労働」は古くから欠かせない営みの一つです。しかし、この言葉に私たちが抱くイメージは多様です。近代の西洋哲学では、どのように考えられてきたのでしょうか。近著「AI時代の労働の哲学」で近代の労働観を整理した、稲葉振一郎・明治学院大教授(社会哲学)に聞きました。(聞き手 編集委員・沢路毅彦)

拡大する写真・図版稲葉振一郎さん

労働が持つ「二重性」

 ――私たちは「労働」というと、賃金など対価を受け取る活動のことをイメージすると思います。こうした考え方は、近代特有のものと考えていいのでしょうか。

 「私たちが労働というものを考える時、大ざっぱな枠組みになっているのは、ヘーゲルやマルクスの考え方です。近代における人間観、つまり人間中心の世界モデルの中で、人間を労働するものとして捉えようとします」

 ――近代以前の労働観は、どのようなものだったのですか。

 「近代の労働観の成立を考える時、まずは労働が持つ二重性を指摘しておかなければなりません。一つは、『栄光の発露』としての労働。人間の創造力の、具体的な発現としての労働です。人は労働することで新しいものを作っていく、という素晴らしさ。これは人間の肯定的な本質です。もう一つは、労働しないと生活ができないという『呪い』。こちらは人間の否定的な本質です」

 「古代ギリシャでは、労働しな…

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