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 秋田県議会の臨時議会が21日開会し、新型コロナウイルス対策の経費約145億6350万円を追加する補正予算案の審議が始まった。県内の飲食店の下支えを狙うプレミアム飲食券が不人気で、県が県民1人が購入できる枚数を増やす方針を示し、県議からは期間延長を求める声が出た。

 新型コロナウイルスの影響で事業継続が苦しい秋田県内の飲食店を助けようと、県が6月10日、県民からの受け付けを始めたプレミアム飲食券への申込数が少なく、県が頭を悩ませている。応募は1人12枚を上限に1回限りとしてきたが、8月5日から上限を1人100枚に増やし、複数回の利用を認める方針を発表した。

 紙の飲食券は1枚700円で購入すると、300円分のプレミアムがつき、県内の加盟店で額面1千円分のサービスを受けられる仕組み。県産業政策課は21日、県議会の予算特別委員会分科会で、方針転換に至った背景を説明した。

 同課によると、今月19日までに飲食券を申し込んだ県民は11万1906人。申請枚数は、発行予定枚数の23・8%にあたる約126万7千枚と、伸び悩んでいる。

 代表者がまとめて券を購入する場合、購入者全員の身分証明書の添付を求めていた点も、使い勝手を悪くしていた。県は8月5日から、この条件を代表者分のみの添付に緩和する。同課は「職場単位で100枚購入すれば、20人前後の宴会に使える」と話す。

 一方で、飲食券を利用できる加盟店は2112店と、対象店数の44・8%にとどまっている。電子チケットを使おうとしたら、店側から断られた事例もあるという。この日の分科会では、県議から、加盟店への登録を店外に表示していない店が少なくなく、「店内に入らないと、飲食券が使えるかどうか分からないのは問題だ」と訴える声も上がった。

 複数の県議からは、9月までとしている券の使用期限を、年内までに延長すべきだとする意見が出た。これに対し、猿田和三・産業労働部長は「一日も早く経済を循環させたいのに、券を買って『忘年会で使おう』と言われては、飲食店が困ってしまう」と主張。それでも、新型コロナの感染が秋以降も首都圏で収まらない場合、県外からの観光客に利用してもらうことが難しいため、券の利用期間を延ばすことも視野に入れて検討していることを明らかにした。

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 電子レンジで加熱するだけで、炊きたての味が楽しめて、買い置きも可能。そんな無菌包装米飯(パック米飯)の製造施設を秋田県大潟村に建設する計画が進んでいる。県販売戦略室によると、実現すれば県内初。国と県は巨額の補助金を出す方針で、「秋田米の消費を国内外で増やせる可能性が広がる」としている。

 この施設は同村の農業法人など5者が設立した「ジャパン・パックライス秋田」(代表=涌井徹・大潟村あきたこまち生産者協会代表)が事業実施主体となり、総事業約21億円をかける。2交代制で稼働し、年4608トン(2304万食)の製造能力を備える。

 21日、県議会に提案された県の補正予算案には、この施設整備を支援する事業費として、約12億7800万円が盛り込まれた。補助率は3分の2以内と通常よりも条件がよく、補助金の4分の3を国が、残りの4分の1を県が負担する。

 同室は、コメの全体の消費量は国内で年々減っているのに、手軽に食べられるパック米飯の需要が、一人世帯の家庭用や非常用食品として伸び続けていることに着目。県産あきたこまちの流通を一気に増やせて、海外輸出の道も開ける、とみている。

 この日の予算特別委員会分科会では「成功してほしいが、金額があまりにも大きい。販路は確保できるのか」と先行きを心配する声も出た。これに対し、同室は、事業者が大手スーパーや量販店と協議している点を強調。県産米を近場の農家から直接仕入れて原料コストを低く抑えられる強みがあり「販売価格で、大手に対抗できる」と主張した。(佐藤仁彦