構成・遠田寛生
新型コロナウイルス感染拡大で1年延期が決まった東京パラリンピック。世界最高峰の障害者スポーツ大会を見据える人たちが、思いを語ります。
心が打ち砕かれた。3月に東京パラリンピックの延期を聞いた時の本音です。安全面を考えれば当然で、頭では理解できました。一方で調子がよかった分、気持ちの整理が難しかった。
今も世界中で新型コロナウイルスの感染は広がっています。東京大会の形は想像がつきません。中止や無観客の可能性も指摘されています。もし、お客さんと一緒になった「あの瞬間」を味わえないとしたら、すごく残念なことです。
私は地元開催となった2012年ロンドン大会で経験しました。視覚障害を持つ私の種目は、2人乗り自転車「タンデム」です。
拡大する2014年の国際スポーツ大会「コモンウェルスゲームズ」男子タンデム1000メートルタイムトライアル(視覚障害)で、スコットランド代表として金メダルを獲得したニール・ファヒー(右)=ロイター
1000メートルタイムトライアルの開始時、すさまじい大歓声でした。足に乳酸がたまり、苦しい最終周は叫びのような大歓声が聞こえました。おかげでさらに力を振り絞ることができました。勝った後に「世界新記録」と聞こえてきて、体内からすごい感情がわき出たのを覚えています。
4歳で視覚障害が判明しました。親戚が集まったクリスマス。遊んでいたいとこたちと庭に出ようと駆け出すと柱に激突したんです。慰めてくれた母が父に言った言葉を今でも鮮明に覚えています。「持っていると思う?」って。
実は母も、母方の祖母も同じ症…
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