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(23日、静岡独自大会 清水東9―4飛龍)

 試合を終えると、声が少しかれていた。「六回の攻撃くらいからちょっときつかったんですけど、大丈夫です。回復は早いほうなんで」。23日、静岡独自大会で飛龍との3回戦に勝利した清水東の背番号20、坂本亮真(3年)は、そう言ってほおを緩めた。

 部内での役割は学生コーチ。もともとは捕手だったが、昨春ひじを痛めたこともあり、選手は諦めた。「僕が選手を続けていても、絶対にチームのためにならないから」

 毎日の練習では主将の杉山勇征(3年)と内容を考え、試合になれば開始前のシートノックを打ち、ブルペン捕手もこなす。そして、三塁コーチだ。味方の攻撃とともに、坂本の一人舞台が始まる。

 「いくぞー!」。脳天から突き抜けそうな甲高い声を張り上げる。「ビクトリーロードをつくれ!」。「お前の世界を築き上げろ!」。打席に立つ仲間、一人ひとりに用意しているというかけ声で後押しする。

 1学年上にいた杉山周政という「将来はプロ野球の審判になりたい」と、審判として野球部に入ってきた先輩が刺激になった。「周政さんは一塁コーチだったんですけど、声かけがポエムみたいに独特で」。先輩の声を学びつつ、自らのスタイルを築いた。

 心がけているのは、「とにかく相手を侮辱しないこと」。試合ができるのは、相手があってこそ。ナイスプレーや闘志は、即座にたたえる。この日も、相手の一塁手がフェンス際までファウルを追うと、「いいファーストだー!」。声をかけずにはいられなかった。

 指導して5年目になる大代茂雄監督は、坂本の働きには目を見張る。「役割を自ら見いだした。3役をこなし、組織作りで欠かせない存在。彼が学生コーチになってから、間違いなくチームが生き生きしている」

 静岡独自大会は7イニング制。1イニングがいつもの夏より貴重な時間になる。「時期が時期なんで、ちゃんとうがいして。あとはまめにのどあめをなめて、ケアします」。次の試合も、サカモトリョウマは声でチームを導く。(山下弘展)