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 原爆投下から25年後の長崎の被爆者を写した写真集「長崎の証言」が、被爆75年の今年、装い新たに再出版される。撮影者は「節目の年に改めて原爆を知ってもらい、被爆者の反核・平和への思いを受け継いでほしい」と話す。

 「長崎の証言」は1970年、長崎のアマチュア写真家グループ「日本リアリズム写真集団(JRP)長崎支部」が発行した。

 支部長の村里栄さん(86)によると、当時は顔や体に傷痕を残す被爆者が日陰者のような扱いを受けていた。57年に原爆医療法が施行され、健康診断や医療給付の仕組みができたものの、被爆者たちは国家補償に基づく援護と核廃絶を訴え、街頭で署名活動などを繰り広げていた。

 「はじめは、そんな被爆者の怒りや悲しみを伝えようと撮り始めた」。故・山口仙二さんの顔のケロイドに肉薄した見開きページいっぱいの写真、後遺症で髪を失った被爆詩人、故・福田須磨子さんの写真――。いずれも写真集に収録された村里さんの作品だ。

 再版を決めたのは、核兵器禁止条約に背を向ける日本政府や、核兵器廃絶に行動しようとしない核保有国の態度が、「『私たちを最後の被爆者に』という被爆者の思いを逆なでしている」と感じたからだ。

 被爆者の思いを伝えるのには「明るさや希望が感じられるといい」と考え、約7千枚のネガを洗い直した。食卓でくつろぐ姿や、笑顔の街頭活動の様子を加えた。「ただ苦しいだけじゃない。被爆者も私たちと同じように生きていたんだ、と感じてほしい」

 新たに市内の被爆樹木も撮って収録した。村里さんは「被爆者よりも長く後世に被爆の事実を伝えてくれる生命体。いまだに新芽を芽吹かせ、希望をイメージさせる」と語る。もともと138ページだった写真集は、170ページに膨らんだ。

 自身も疎開先からの入市被爆者である村里さんは、これまでモデルになってくれた多くの被爆者の死を見届けてきた。「私たちが核兵器廃絶や平和の思いを受け継ぐ限り、彼らは生き続ける」と語る。戦争を知らない世代に、この写真集を通じてその思いに触れてほしいと願っている。

 写真集は8月1日発行の予定で、2千円(税込み)。問い合わせは村里さん(095・861・8350)へ。(弓長理佳)