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 核燃料サイクル政策の中核施設で、「放射性物質の化学工場」ともたとえられる日本原燃六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)。新規制基準への適合が29日にも正式決定されるのを前に、構内の安全対策工事を取材する機会を得た。すでに約2・2兆円まで膨らんだ建設費に、7千億円を追加投入する大工事。現場は「来年度上期完成」の号令のもとに突き進んでいるが、「本当に実現できるのか」という疑念は晴れることがなかった。

拡大する写真・図版日本原燃の六ケ所再処理工場=2018年11月、青森県六ケ所村、朝日新聞社機から、恵原弘太郎撮影

着工から27年、再処理工場の今
六ケ所再処理工場の建設は1993年に始まり、設備のトラブルなどで今も完成を見ない。それでも国が推進を掲げる核燃料サイクル政策とは何なのか。巨額の建設費が投じられ続ける工場の中を回り、改めて見つめ直す

 青森市中心部から車で1時間あまり。森と沼に囲まれた丘を切り開いた広大な土地に、天を突く煙突と、積み木を並べたように直方体の建屋がひしめく。遠くからみた再処理工場はそんな光景だ。敷地面積は東京ドーム83個分、390ヘクタール。建屋の数は20を超える。ここに、全国の原発から集まった使用済み核燃料が容量の満杯に近い2900トン貯蔵されている。

拡大する写真・図版丘の上に立つ六ケ所再処理工場=2020年7月16日、青森県六ケ所村

「放射性物質の化学工場」 人がすぐ死に至るレベルの廃液も

 使用済み核燃料からウランとプルトニウムを取り出し、原発の燃料として再利用するのが核燃料サイクル政策。利用が進まず、事実上破綻(はたん)しているにもかかわらず、東京電力福島第一原発事故を経た今も国は推進を掲げ続けている。燃料棒をバラバラに切断して硝酸などで溶かし、ウランとプルトニウムを分離・抽出するプロセスを担うのがこの再処理工場。「放射性物質の化学工場」と言われるゆえんだ。

 使用済み核燃料や、ウランなどを分離した後に残る高レベル放射性廃液は、人が近づくと被曝(ひばく)線量があっという間に死に至るレベルになるほど放射能が強い。水やコンクリートで放射線を遮り、慎重に取り扱う必要がある。

拡大する写真・図版直径3メートルの巨大ダクト。これにも竜巻対策として防護板が取り付けられる=2020年7月16日、青森県六ケ所村

 建屋の多くには窓がなく、無機質な空気が漂う。耐震性を高めるためだそうだが、広報担当者は「人が触れないレベルの放射性物質を扱うので、作業は機械での遠隔操作。人がいないので、窓もいらない」。建屋の壁と屋根には、直径3メートルのダクトが巨大な尺取り虫のようにはわされていた。

■「青森で一番高い建物…

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