[PR]

 8月12日で発生から35年を迎える日航ジャンボ機墜落事故。墜落現場の群馬県上野村の御巣鷹の尾根への慰霊登山も新型コロナウイルスの感染拡大を受け、分散化が図られている。25日は日本航空が登山する遺族の支援にあたる「支援日」の初日。時折雨も降る中、日航によると、3組、計9人の遺族が尾根を訪れた。

 「子どもが大好きで、家族思いの人でした」。京都市左京区の岸田順江(じゅんこ)さん(62)は、父・花川忠彦さん(当時55)の墓標の前で振り返った。大阪府立高校の定時制の教頭だった忠彦さんは、北海道での会議からの帰途、事故機に乗り合わせた。大好きだったたばこを供え、静かに手を合わせた。

 例年は秋に訪れていたが、昨年は10月の台風19号で尾根が被災して断念した。今回は2年ぶりの慰霊登山で、岸田さんの長男で会社員の友吾さん(36)=兵庫県明石市=と孫の隆誠(りゅうせい)君(2)らも一緒。「父も、孫やひ孫の元気な姿を見られたら喜んだだろうな」と岸田さん。事故当時はまだ1歳だった友吾さんは「自分たちの世代はあまり事故のことを知らない。でも、多くの人にこの事故を思い返してほしいと願っています」と話した。

 息子の健君(当時9)を事故で失い、遺族らで作る「8・12連絡会」の事務局長を務める美谷島邦子さん(73)も訪れた。健君の墓標に心の中でそっと声をかけたという。「これまでたくさんの人たちと一緒にここまで歩いてきたよ。これからも一緒に歩こうね」

 26日と、8月11~13日も支援日とされている。この間は入山規制を実施し、尾根に続く村道は遺族と関係者に限って通行できるようにする。12日の追悼式典も参列者を村関係者ら10~20人程度に限定。11日夜に恒例だった灯籠(とうろう)流しの中止も決まっている。(森岡航平)