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 和歌山市で4人が死亡し、63人が急性ヒ素中毒になったカレー毒物混入事件から25日で22年を迎え、地元の住民が事件現場で手を合わせた。

 午前8時ごろ、空き地となった事件現場にカレー事件被害者の会副会長の杉谷安生さん(73)が「亡くなった方や遺族に私は何もすることができない。せめてお花だけでも」と花を手向けた。

 1998年7月25日、同市園部の夏祭りでヒ素が混入されたカレーを食べ、高校1年生の女子生徒ら4人が亡くなった。当時、高校2年生だった杉谷さんの長女もカレーを食べ、激しい嘔吐(おうと)などに襲われ、数日間入院した。杉谷さんは「同年代の人も亡くなった。なんとか助かってくれと願った」と当時を振り返る。

 事件から数カ月はカレーを食べさせなかったというが、「大好きだったカレーをこの先ずっと食べられないなんて」と徐々に食卓に出すようにしたという。現在、長女は結婚し、小学生の子どもが2人いる。

 杉谷さんは「毎日のように孫の顔を見に行く。それが楽しみ」と話す。一方で「亡くなっていたのが自分の娘だったかもしれない。そうしたら、いまの日常は無い」と事件の悲惨さを感じる。毎年この時期になると事件のことが話題になるが、長女は、当時の話をしたがらないという。

 2009年に殺人の罪などで林真須美死刑囚(59)の死刑判決が確定。弁護側は、再審を求め、最高裁に特別抗告を申し立てている。

 事件後に自治会が開いていた慰霊祭は、遺族の気持ちを考慮して09年を最後に開かれていない。杉谷さんは「もう終わったことにしたい遺族や被害者もいる。それでも風化はさせたくない」と慰霊を続けている。(西岡矩毅)