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 新型コロナウイルスの感染拡大による飲食店の休業に続き、長雨による日照不足の影響で、野菜農家が苦境に立たされている。

 愛知県春日井市の「土磨自然農園」を営む横島龍磨(よこしまたつま)さん(50)は、1ヘクタールの畑で200種類の野菜を1人で育てている。無農薬が売りだ。20年間、大手外食チェーンに勤めたが、農薬を使った食材に矛盾を感じて会社を辞め、2008年に立ち上げた。

 愛知、岐阜両県のレストラン約30店舗に卸してきたが、4月から5月にかけて取引先のほとんどが休業。出荷がゼロになり、レタスや大根など、1カ月間に収穫した約40万円分の春野菜を廃棄処分にした。廃棄したのは初めてだった。

 「飲食店が営業自粛を決断したのは当たり前のこと。誰も責めることはできない」。5月に入るとナスやピーマン、トマトなど夏野菜の作付けに入った。

 しかし、7月には農園を大雨が襲った。長雨と日照不足で根腐れして、夏野菜の収穫量は例年の半分以下に落ち込む見込みだ。農地はぬかるみ、トラクターが入ることも難しい。

 「今年は踏んだり蹴ったり。ここまでうまくいかない年は初めて」。日照りがきつかった昨年を参考に、収穫のピークをずらしたことも裏目に出た。

 飲食店の客足は一時的に戻っているが、感染防止対策で席数を減らした店も多い。7月に入って、感染者は急激に増えて「第2波」が懸念されるが、希望もある。

 名古屋市中区で経営する自然派コンビニ「EARTH COLOUR LAB NAGOYA」では、「外食ではなく、自宅で有機野菜を食べて免疫力を上げたい」などと食材にこだわる人が増え、全体の客数は例年の1・5倍ほどに増えた。

 横島さんは「コロナ前のようには戻らないが、食と農業に関心を持つ人はむしろ増えたと思う」と前向きにとらえる。個人の需要が増えることも見込んで、今年も例年通り作付けするという。