打席で思い出す昨夏…2年連続で双子が最後のバッターに

宮城奈々
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(25日、鳥取独自大会 倉吉東2-1鳥取商)

 1―2で迎えた九回表。2死。ここで打たなければ自分が最後のバッターになる。打席に入った鳥取商の花川京之輔(きょうのすけ)(3年)には、思い出すシーンがあった。

 昨夏の鳥取大会の2回戦。同じく1―2で迎えた九回表。2死の場面で打席に立ったのは、双子の弟で捕手の竜之輔(りゅうのすけ)(同)だった。2年生ながらお互いにレギュラーとして出場。しかし、竜之輔はつなぐ1本を出せずに最後のバッターとなった。その姿を、二塁手だった京之輔はベンチから見つめていた。兄弟は悔しさを共有しながら冬の練習に打ち込み、再びレギュラーとして夏の大会に戻ってきた。

 「来た球に手を出すだけ。思い切っていこう」。この日5度目の打席。相手投手とタイミングが合わないと感じていたが、気負いはなかった。4球目。タイミングは逃さずにバットに当てた。しかし、二塁手手前の平凡なゴロになり、試合終了となった。その姿を、今度は竜之輔がベンチから見つめていた。

 野球を始めた小学校からいっしょにプレー。同じチームで試合に出続けてきた。甲子園も2人で目指そうと、高校も同じ学校を選んだ。特別仲が良いという自覚はないが、周りの部員は「仲良いよな」と言う。

 「もっとしっかりせんといけん」。「今のは良かったな」。一緒に過ごす時間が長い分、誰よりもお互いを褒めあい、叱りあってきた。夏の大会前、ライバルを尋ねたアンケートにはお互いの名前を挙げあった。

 くしくも、2年連続で兄弟がそれぞれ最後のバッターになった。野球は2人とも高校で最後と決めている。卒業後は就職する予定だ。試合を終えた竜之輔は「やれることはやれた。後悔はない」と、すっきりとした表情。一方の京之輔は「申し訳ない」と泣き顔だった。「あいつがいなかったらここまで続けていたかわからない。最後の瞬間までいっしょにプレーできて良かった」(宮城奈々)