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 相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で障害者19人が殺害され、職員を含む26人が重軽傷を負った事件から26日で4年。新型コロナウイルスの感染拡大で追悼式典が中止されるなか、この日は園舎前に多くの人が訪れ、花を手向けて祈りを捧げた。

 「19名の命を忘れません」。東京都八王子市の河野章江(ゆきえ)さん(45)はこう書かれた手作りのメッセージカードを、長女の華穂さん(10)と一緒に供えた。「大事なお子さんを亡くした方はどういう思いか、記事などを見ると涙が出る。子どもに『命って大事なんだよ』と伝えるようにしている」と話した。

 大和市の平岡祐二さん(60)は、19本の花を1本ずつ手向けた。「一人ひとりのいのちが大切だというメッセージが社会全体に広がっていってほしい」

 東京都国立市の鳥居麻生さんは、知的障害のある子どもたちの教室に勤める。この日は同僚らと献花に訪れ、「地域に開けた住まいの場所を作るため、自分の仕事をこの場所で見つめ直しました」と話した。

 地元住民らで作る「共に生きる社会を考える会」の人たち約20人も花を手向けた。共同代表の太田顕さん(77)は「あのような悲惨な事件が自分の暮らす地域で起きたことは衝撃。優生思想は一般社会にも存在し、私たちの心の中にもある」と話した。

 園の入倉かおる園長(63)は、事件の前の楽しかったやまゆり園を思い出しながら献花したという。来年度には新たに後継の2施設が整備される。「あと1年、新しい施設づくりに励む」と話した。

 黒岩祐治知事も献花し、「根深い差別は絶対に許してはならない。『この事件を絶対に(再び)起こしてはいけないんだ』という思いを、一人ひとりに確認してもらいたい」と話した。

障害当事者、不在では

 相模原市緑区の「ソレイユさがみ」では同日、やまゆり園の元利用者の家族や学識経験者らで作る「津久井やまゆり園事件を考え続ける会」のシンポジウムがあり、障害者支援のあり方について意見を交わした。

 やまゆり園を巡っては今年、県が設置した検証委員会が「身体拘束など、やまゆり園で虐待の疑いがある行為があった」との中間報告をまとめた。この日は東洋英和女学院大学の石渡和実教授が中間報告について解説。「施設のあり方を考えるうえで、本人(障害当事者)不在では意味が無い」と述べた。

 検証委員会で委員を務めた野沢和弘氏へのインタビューも放映された。障害者虐待防止法では身体拘束は、「切迫性」「非代替性」「一時性」の三要件がそろった場合に限り認められる。野沢氏はこれについて「支援の現場では、『抑えるしかない』と対症療法的に身体拘束する『常識』がある」と発言。「地域で障害の特性を理解しながら、環境やコミュニケーションに配慮し、尊厳を守りながら支援している例も多い」とも述べ、委員を務める県障害者施策審議会の部会でこうした課題を取り上げていきたいと述べた。(黒田陸離、土屋香乃子、神宮司実玲)