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 何げない善意が、日本から遠く1万3千キロ離れた母国の大統領にまで届いた。

 物語の主人公は、西アフリカにあるナイジェリア出身のイケンナ・ウェケさん(37)。12歳の時に父親を亡くした苦労人だ。歴史や政治の勉強が好きで、ゴミ拾いなどをしてためたお金で高校に進学。2年制の大学に進んだが、学費が払えなくなり中退した。

 それでも、教員や地元の新聞社のスタッフとして働きながら、「将来は大学の先生になりたい」と夢を持ち続けた。チャンスが訪れたのは2013年秋。留学生の増加を掲げた日本の文部科学省が実施した奨学金に申し込み、茨城県の筑波大学に進学することができた。元々、忍者映画が好きで、質の高い日本製の車や家電製品にもあこがれていた。

 「日本で学び、母国の将来のために生かしたい」。日本語の学習には苦労したが、深夜でも治安の心配なくコンビニに寄れて、争いも少ない日本のことが気に入った。残念だったのは、街中に忍者がいなかったことだけ。いまは博士課程まで進み、母国の北東部で襲撃事件を繰り返すイスラム過激派「ボコ・ハラム」の研究をしている。

 6月19日。家族が待つ自宅に帰ろうと、県内のバスターミナルの近くを歩いていた。ふと、緑色の柄付きの財布が落ちているのを見つけた。1万円札が何枚かと、クレジットカードやパスモが入っていた。すぐに最寄りの交番に届け出た。それが当然の行動だと思っていたからだ。

 日本では貴重品を落としても、…

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