拡大する写真・図版アジアで就活@ベトナム編 荒島由也さん

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 就職先はどこにする? 日本から足を一歩踏み出すと、そこには躍動するアジアの舞台が待っていました。20~30代の6人が、仕事と生活を語ります。連載「アジアで就活」の初回はベトナム編です。

 ベトナム最大の都市ホーチミンで、日本人街として知られるレタントン通り。荒島由也さん(37)が経営するクッキングスタジオ「スターキッチン」は、路地の行き止まりにある建物の2階にある。

 目印は店の入り口脇にある小さな黒い看板だけ。一見(いちげん)さんにはたどり着けそうにないこの場所で、1日に3回開かれる料理教室に地元のベトナム人が生徒として集まる。レシピはスイーツが中心。チーズケーキやティラミスなど洋菓子だけでなく、餅を使った和風のデザートもある。告知後すぐに予約で埋まる回もあるほどの人気ぶりだ。

拡大する写真・図版路地の奥にある「スターキッチン」のクッキングスタジオ。入り口には小さな看板がある=2020年7月9日、ベトナム・ホーチミン、宋光祐撮影

 2013年7月に起業して以来、きれいに飾り付けられたケーキや楽しそうな参加者の写真を「スターキッチン」のフェイスブックに投稿してきた。フォロワーは21万人を超える。ソーシャルメディアの影響力が大きいベトナムで、その名を知られる存在になった。

 荒島さんは料理の専門家ではなく、スイーツが特別に好きだったわけでもない。海外で働くことと起業すること。二つの夢をかなえるため、日本を飛び出した。事業の計画は、ホーチミンに来てから本格的に考え始めた。

 「筑駒(つくこま)」の名でトップ進学校として知られる筑波大付属駒場中学・高校を卒業した。志望した東京大には進めなかったが、慶応大に進学。07年、米国IBMの系列の経営コンサルティング会社に就職した。エリートと呼ばれてもおかしくない経歴だ。

 ただ、ひとたびベトナムに来れば筑駒も慶応もIBMも、自分の経歴は誰も知らない。「何もないアラシマユウヤとして、自分の力を試したかったんだと思う」。だから、料理ができないのにクッキングスクールをやりたい「変な人」になって、何の保証もないベトナムでの起業を決めた。

拡大する写真・図版ケーキを作るお客さんと話す荒島由也さん=2020年7月9日、ベトナム・ホーチミン、宋光祐撮影

 「教えるだけでなく、どうしてケーキを売らないのか」。スイーツ教室に来た生徒からそう尋ねられたことがきっかけで、オンラインでケーキを売り始めた。まもなくホーチミンのファミリーマートから声がかかり、店舗でのシュークリームの販売が決まった。カフェの経営にも乗り出して存在が知られるようになり、16年7月には「ホーチミン高島屋」に開業と同時に出店。今ではセブン―イレブンとスターバックスにもスイーツを納めている。

 ベトナムに来て7年半。ツイッターのアカウントではコンビニ、デパート、グローバルブランドのカフェと取引を実現した起業家として、「ベトナムスイーツ三冠王」を自称している。

筑駒から慶応、コンサルへ。日本で順風満帆な道を歩んでいた荒島さんが、ベトナム行きを決意したのはなぜでしょう。記事後半でご紹介します。キッチンスタジオの様子も動画でご覧いただけます。

 日本で勤めていたIBMの系列…

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