拡大する写真・図版中日の新人選手入団会見で集合写真に納まる与田剛監督(中央)、ドラフト1位指名の石川昴弥(前列左)ら=2019年12月16日午前、名古屋市中区、上田潤撮影

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 プロ野球の新人起用法から、一般企業の若手登用のメリット、デメリットについて考えられないか。経営誌から転職し、今は中日担当をしている私は、試合を取材しながら思いを巡らせてきた。そんな時、中日の新人が、高卒では12球団で今季初となる1軍デビューを果たした。中日の地元、愛知・東邦高からドラフト1位で入団した19歳の三塁手、石川昂弥(たかや)だ。

毎週火曜日の午前に、中日ドラゴンズにまつわる話題やコラム、記者の考察などをお届けします。

 彼の抜擢(ばってき)をモデルケースに人事のスペシャリストたちに話を聞いてみた。すると、いくつかのキーワードが浮かび上がった。日本ならではの稲作、終身雇用制からのパラダイムシフト、そしてリーダーの決断力――。

 石川昂が1軍に昇格したのは7月12日だった。前日に同じポジションの三塁を守る主将の高橋周平(26)が負傷離脱し、チャンスが転がり込んできた。いきなり先発出場を果たし、プロ初安打を放った。

拡大する写真・図版2月のキャンプのシート打撃で安打を放つ石川昂弥。右は与田剛監督=沖縄県読谷村、上田潤撮影

 高卒の野手は、投手に比べて育成に時間がかかるといわれる。昨季、ヤクルトの高卒2年目だった村上宗隆(20)が36本塁打で新人王を獲得したが、高卒出身野手の新人王は、1988年に1年目で活躍した中日の立浪和義(50)以来だった。

 石川昂は高校時代から木製バットに対応するなど高いセンスを持っているが、立浪や村上に比べると、「実力で1軍を勝ち取った」とは言いがたい。2軍では9試合で打率2割5分8厘、1本塁打と、特別すごい数字でもなかった。

 昨季まで7年連続Bクラスと低迷する中日は選手層が薄く、とりわけ三塁の控えに目ぼしい人材がいない。正三塁手の離脱は、将来のスター候補に経験を積ませる場となった。

 このような起用法は、一般社会ではどう映るのか。「人事のプロ」たちに、聞いてみた。

新人育成は稲作と同じ?

 リクルートワークス研究所所長の奥本英宏さんに尋ねると、話は意外な例えから始まった。

 「日本には独自の『苗代文化』がある。幼弱な稲の芽をあらかじめ強く育てておいて、水田に植え替える。日本の米がおいしいのは、この伝統があるから」。日本企業の風土にも、この苗代文化に通じるものがあるのだという。「米国ではいきなり新人を要職につけることがあるが、日本では区分けされた特別な環境で丁寧に育てられることが多い」

拡大する写真・図版リクルートワークス研究所の奥本英宏所長

 中日首脳陣も当初は石川昂を「苗代」の2軍でじっくり鍛える方針だった。しかし、開幕直後に転換し、「水田」に放り込んだ。

 そんな新人抜擢のリスクをどうとらえるか。奥本さんの話は広がっていく。

 「本人が適応できなければ、プ…

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