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 1887(明治20)年から酢を造り続けている老舗「山二造酢」(津市阿漕町津興)が、オンラインショップでの売り上げを伸ばしている。新製品をおしゃれに紹介するなどし、4~6月の売り上げは、その前の3カ月間の5倍に達した。手を差し伸べたのは、「兼業」の助っ人たちだ。

 山二造酢は今年4月に新商品「Gin Vine SWEET YUZU(ジンビネスイートゆず)」の販売を開始した。ショウガ(Ginger)と酢(Vinegar)にゆず果汁を合わせた飲むお酢だ。写真やコピーに工夫を凝らし、さわやかな商品イメージを創出した。

 「酢をつくるのは得意だが、売り出し方のノウハウがなかった」と話すのは、5代目社長の岩橋邦晃さん(47)。外部の人材の力を借りようと、兼業を希望する社会人と、人材を求める地元企業をマッチングさせる「ふるさと兼業」という求人サイトを利用した。

 紹介されたのは、経営コンサルタントや通販に携わる人など、東京都や福岡県で本職をもつ3人。3月から新商品のプロジェクトに関わることになった。

 このサービスで、三重エリアのコーディネーターをしている一般社団法人「わくわくスイッチ」の中村憲和代表(44)は、「地方では人材の流出が問題になっているが、兼業は新たに地方に関わる人材の創出につながる」と話す。

 それぞれが遠方に住んでいるだけではなく、新型コロナウイルスの影響で移動の自粛要請も出ていた時期。メンバーは、オンラインで話し合いを重ね、商品の売り出し方について知恵を出し合った。

 メンバーの一人で、経営コンサルタントの伊藤俊徳さん(40)は、「山二造酢はこれまでもオンラインショップを持っていたが、商品のアピールが不足していた」と話す。同社は従業員13人の小さな会社で、サイトまで手が回っていなかったという。

 社員たちは、兼業メンバーと一緒にメディアにリリースを出したり、母の日などの記念日に合わせてキャンペーンを展開したりし、今までにないPRの方法を始めた。

 新商品の発売と同時にSNSも立ち上げた。若い世代にも酢のことを知ってもらおうと、20代の女性社員を広報担当に登用。酢を使ったレシピやおしゃれな写真をアップするなど奮闘し、オンラインショップでの売り上げを約5倍にまで伸ばした。同社の顧客はこれまで、地元の問屋や料理店などが多かったが、県外からの問い合わせも増えたという。

 コロナ禍で全体の売り上げは3割ほど落ちているなか、岩橋社長は「販売方法を変えないといけないと改めて感じた」と話す。

 伊藤さんは「今後もオンラインで物産展をするなどし、売り上げをさらに伸ばしていきたい」と意気込んでいる。(甲斐江里子)