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死望む裏に苦痛、寄り添い支援を ALS協会など見解 

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 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性患者(当時51)に対する嘱託殺人容疑で医師2人が逮捕された事件を受け、日本ALS協会と日本尊厳死協会がそれぞれ、見解を出した。

 ALS協会は「ALS患者さんが死にたいと関係者に依頼することは珍しいことではなく、思いや行為を非難することはできない」としたうえで、逮捕された2医師の行為については「医療倫理に背く行為であり、二度とあってはならない」と批判した。

 ALSなどの神経難病患者の療養環境は改善されつつあり、現在は「人工呼吸器を着けた重症患者でも外出や社会参加ができ、長期に生きられる道が開かれている」とする。一方で、病気進行に伴う精神的な苦痛や制度支援が追いついていないことを課題に挙げ、「当事者に寄り添い支援していくことが必要」としている。

 尊厳死協会は、延命治療の拒否を文書で示す「リビングウイル」に基づいて延命治療を受けず、十分な緩和ケアを受けて自然に迎える死を「尊厳死」と定義する。積極的に生を絶つ「安楽死」とは異なる概念と強調。「まずは尊厳死ができる国にしよう」と訴えた。

 「死にたい」という思いの裏には、家族への負担を強いることや社会参加の機会が奪われることからくる苦痛や苦悩があるとし、患者の苦痛を周囲が共有することが望まれるとする。事件を契機に、リビングウイルや尊厳死、死の権利への議論が深まることを期待しているとまとめた。

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