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 沖縄を舞台にした小説「首里の馬」(新潮社)で芥川賞を受賞した高山羽根子さん(45)が21日、都内で沖縄タイムスのインタビューに応じた。琉球処分、沖縄戦、米軍統治下、日本復帰から今につながる沖縄の現状を見つめ「沖縄は経済的、政治的要素などいろんな意味で変化してきた。公でなく個人であっても、歴史を記録する視座、役割を持てば未来の希望になると思う」と話した。

 「首里の馬」は、小さな資料館に中学生の頃から出入りする女性が主人公。資料館を手伝う傍ら、オンライン上でクイズを出す奇妙な仕事で知り合った人たちとのやりとりや、台風の夜に迷い込んだ宮古馬との出合いなどのエピソードを交え、沖縄の歴史に向き合おうとする女性の心情を描いている。

 高山さんは、大好きなプロ野球のキャンプを見学する目的で沖縄に通う中、滞在中に博物館や図書館などで得た情報をきっかけに執筆を開始。「自分は沖縄で生まれて育ったわけではないので、外側からの視点で沖縄の中を見渡して何かを書きたい」と、断片集めの作業を含めて2~3年かけて完成させた。

 戦後75年が経過し、沖縄戦の記憶の継承に課題がある中で「証言などの記録が残せるのであれば、どんな人のどんな言葉も残してほしい。いろんな視点があればあるほど、立体がつくりやすい。たくさんの記録を残せたら、そこには何かが立ち現れてくる」と語った。

 名護市辺野古の新基地建設をはじめ、日本復帰後も変わらない沖縄の基地負担については「基地問題で反対を声高に表明しなくても、記録することには『誰が何をしたのかを見ているぞ』というカウンターの意味がある」と話し、物語にある歴史を記録する意義を強調した。(沖縄タイムス)