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 中心街の飲食店で新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が発生した浜松市。緊急事態宣言が解除され、徐々に持ち直しを見せていた飲食店には予約のキャンセルが続出。店主らがまたしても苦境に立たされた。浜松市は対策に乗り出し、店側も「新たな営業様式」をめざして模索を始めている。

 同市中区の中心街で居酒屋を経営する50代の男性店主はため息をつく。

 7月に入って客足が戻り、「7、8割のところまできていた」と言う。ところが、24、25日ごろからキャンセルが相次ぎ、8月初旬までのキャンセルは十数件にのぼった。

 コロナ対策は十分に取ってきた。店では客席の間についたてやすだれを設置。来店者にはおしぼりと共にアルコール消毒液を渡し、その場で消毒してもらう。客席も従来の3分の2ほどにした。換気に気をつけ、暇をみてはアルコールで拭き掃除もしている。「無症状の人もいるようで誰が感染しているかは分からない。これ以上の対策のしようがない」

 鈴木康友市長はクラスターの発生が確認された2日後の26日、緊急会見を開き、営業自粛要請について「今のところは考えていない」とした上で、「マスクやフェースガードの着用などはもちろん、間仕切りや換気など、市の助成制度も利用して3密対策をしっかりやってほしい」と事業者に要請した。

 利用客にも「3密対策をしっかりやっている店の利用を」と呼びかけた。市が店側の対策を点検した上で、店に「お墨付き」を与え、ステッカーを交付する「はままつ安心・安全な飲食店認証制度」も近く開始する。

 市はフェースガードやついたての購入、換気設備の増設などの3密対策にかかった費用に最高30万円の補助をする「3密対策事業者支援補助金」を8月いっぱい行っている。このほか、店の混雑状況がアプリなどでリアルタイムに確認できる「混雑ランプ」システムを試験的にスタート。感染者との接触を知らせる市独自の「はままつLINEコロナ見守りシステム」も導入するなど、利用客への情報提供にも工夫をこらす。

 消費喚起策としては「ペイペイ」と連携し、利用者に対し月額5千円を上限に30%のポイントバックが受けられるキャンペーンも実施。予算5億円を用意している。

 市内に料理店4店舗を展開する浜松パワーフード学会の秋元健一会長は「うちも予約は9割方キャンセル。多くの店が似たり寄ったりのようで、まち全体が落ち込んでいる気がする」と言う。ただ「『この店だったら大丈夫』という店になるしかない。『新たな営業様式』を生み出していくしかない」と前向きな姿勢を見せた。(菅尾保)