新型コロナウイルスの感染が広がった欧州でも、被害を大幅に抑えたとして注目される国がオーストリアとギリシャだ。何を重視して対策を進めたのか。今後の課題は何か。両国で政策決定に関わる専門家の話から探った。
拡大するオーストリア保健省感染症部長のベルンハルト・ベンカ氏=2020年6月16日、ウィーン、吉武祐撮影
オーストリアでは、欧州で先行して感染爆発が起こったイタリア北部に接するチロル州を中心に感染が広がり、3月中旬に全土で外出禁止となった。一時は新規感染者が1日当たり1千人前後に上ったが、素早い抑制に成功した。死者数は同じくイタリアと接する隣国スイスの半分以下だ。
専門家を集めた政府のタスクフォースを統括する保健省感染症部長のベルンハルト・ベンカ氏は「症状のある人をすべて検査し、全員を対象に接触者を追跡した」と語る。
重視したのは、「在宅検査」の徹底だ。多くの国で通院患者からの感染が病院内で広がるなか、オーストリアでは対策の最初から病院に行く感染者を抑えて医療従事者を守る方針をとってきた。今や同国で知らない人はいない専用ダイヤル「1450」に電話すると、必要であれば検査要員が派遣される。感染状況の正確な把握と感染者の抑制につながったという。「大勢が同時に重症になって医療崩壊が起きる事態を危惧したが、集中治療室は満杯に近づくこともなかった」
その前提となったのが感染者情…
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朝日新聞国際報道部