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 日本との国交樹立100年を昨年迎えたポーランドのマテウシュ・モラヴィエツキ首相が「日本・ポーランド-揺るぎない友情の架け橋」と題する寄稿をした。モラビエツキ氏は歴史的な日本との結びつきと、今後のさらなる発展を強調した

「日本・ポーランド-揺るぎない友情の架け橋」

 日本はポーランドにとって、長年の間、東アジアのみならず世界で最も重要なパートナーの一つです。その日本を今年1月、初めて訪問することが出来ました。両国は、領域主権を含む国際法の順守など様々な問題において見解を共有し、民主主義の共通の価値を礎とした良好な関係を築いてきました。日本・ポーランド関係が新たな世紀を歩みはじめた中、新天皇陛下の御即位で令和の時代が幕開けした日本への訪問は、極めて感慨深いものでした。

 昨年、日本とポーランドは国交樹立100周年を迎えましたが、その間、多くの歴史的な出来事が両国関係を育みました。ポーランド人の心には、20世紀初頭に、ポーランド人シベリア流刑者の子どもたち約1千人が日本赤十字社によって救出されたことへの感謝が刻み込まれています。ホロコーストからユダヤ系市民を救った日本の支援も忘れられていません。2020年は「日本のシンドラー」と呼ばれる杉原千畝氏(元在リトアニア領事代理)が、自らと家族の命を危険に晒(さら)しながらも、日本への通過ビザ「命のビザ」を発給してから80年になります。ポーランド人シベリア流刑者、民族学者であり、北海道のアイヌ文化を研究したブロニスワフ・ピウスツキ氏の業績は、日本でも高く評価されています。

 両国の戦略的パートナーシップが幅広い分野で強化される中、目下、世界は前例の無い危機と脅威に立ち向かっています。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は世界規模で社会生活に様々な混乱を招きました。こうした事態を受け、ポーランド航空LOT並びにポーランド政府は、2度にわたりワルシャワ-東京間の特別チャーター便を運航し、ポーランド人と日本人の帰国を可能にしました。日本・ポーランド間の往来をいかに早く回復させることができるかは、重要な課題です。嬉(うれ)しいことに、ここ5年間でポーランドを訪れる日本人の数は34%も増加しました。ポーランドは日本と多くの絆で結ばれています。ポーランドを旅行される日本の方々は、ヨーロッパの伝統ある街の趣に浸り、歴史に思いをはせ、ユネスコ世界遺産を訪れ、ポーランドの文化、料理、おもてなしを満喫されています。ポーランドでは日本のことを「桜咲く国」と呼んでいますが、今日、両国の経済関係、市場が「花咲く」時期を迎えていると言えます。

 7月1日、ポーランドは中欧4カ国-ポーランド、チェコ、スロバキア、ハンガリーで構成されるヴィシェグラード・グループの任期1年の議長国に就任しました。ヴィシェグラード・グループと日本の協力、すなわち「V4+日本」協力は2004年に開始されました。V4と日本の連帯は、11年3月に発生した東日本大震災の際にも、V4から被災地への支援という形で示されました。13年には、ワルシャワで歴史上初の「V4+日本」首脳会合が開催されました。この時の安倍晋三首相による訪問は、ポーランドのEU加盟後初の日本の首相によるポーランド訪問となりました。ヴィシェグラード・グループは、協力枠組みとして年々存在感を強め、EUにおいて重要な役割を担っています。ヴィシェグラード・グループと日本の協力は、私が訪日した際にも、安倍晋三首相との会談の重要なテーマとなりました。

 貿易および投資の拡大といった経済協力の強化は、理想的な両国関係の発展に欠かせません。19年2月1日に発効した日EU経済連携協定は、経済協力の強化に向けた推進力となるでしょう。関税の引き下げと非関税障壁の撤廃が実現したことで、農産物・食料品を中心とするポーランドから日本への輸出が増加しています。両国の管轄機関では、ポーランド産豚肉および家きん肉に関して、地域主義の導入と日本市場への輸入停止の解除に向け、協力が続けられています。

 ポーランドにとって、日本の対ポーランド直接投資は極めて重要です。ポーランドでは、現在約300社の日系企業が進出し、4万人の雇用を創出しています。ポーランドへの投資が英断であったことは、時の流れが証明しています。トヨタは投資先としてポーランドを高く評価し、ポーランドへの投資を段階的に大幅に拡大してきましたが、先日もハイブリッド車の駆動技術開発センターが開設されました。COVID-19のパンデミックによるサプライチェーンの分断が顕在化したことからも、ぜひ、トヨタに続き、ポーランド進出を検討いただきたいと思います。

 1月には私の日本訪問に合わせ、ポーランドの国営企業を含むビジネス関係者数十人が来日しました。現在、ポーランドでは、数多くのエネルギーおよびインフラ分野の戦略的投資プロジェクトが進行中です。これらは、ポーランドが今後発展を続けるための環境整備であり、不可欠なものです。欧州とアジアの連結性(コネクティビティー)をかなえる、両地域を結ぶ交通・輸送のハブ拠点としての地位を築きたいとの狙いもあります。そのカギを握る最大のインフラ投資プロジェクトが、新中央空港(CPK)の建設であり、嬉しいことに、日本のパートナーの協力によりこれが実現されるかも知れません。CPKでは同様に、鉄道部門においても日本企業の協力を歓迎しています。こうした動きが刺激となり、ポーランドの港湾拠点の拡張・近代化をはじめ、その他のインフラプロジェクトにも日本企業の参入を期待しています。

 日本は、エネルギーセクターにおいても主要な協力パートナーです。東京での会合では、エレクトロモビリティー、クリーンコール技術、水素の産業利用、液化天然ガス(LNG)をはじめ、新しい原子力技術の研究開発において優先的に協力することが確認されました。ポーランドは独自の水素戦略の策定を目指しており、水素社会の推進を牽引(けんいん)する日本との技術協力の強化に関心を寄せています。水素は未来のクリーン、安全、安価なエネルギーとして大きな可能性を持っています。具体的には、水素の産業利用拡大を目指した共同研究開発を推進したいと考えています。ポーランドは中欧地域のエネルギーハブとなることを目指しています。そのため、日本は実績のある信頼できるパートナーであると同時に、将来性に満ちたパートナーでもあります。

 7月21日、ポーランドを含むEU加盟国は、公共投資の実施など、長期的に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)からの経済再建を図るための中期予算計画の合意に至りました。この2021年から27年のEUの多年次財政枠組み(MFF)は欧州の新マーシャルプランとなることでしょう。ポーランドは、この配分金を活用し、イノベーションの推進、インフラおよびエネルギープロジェクトの実施、高速ブロードバンドインターネット、5Gの普及、環境保護、教育、医療の向上に取り組みます。

 両国は多岐にわたって協力し、極めて良好な関係を築いています。また、多くのポーランド人が日本文化に高い関心を抱いており、自ら日本を訪問できたことを大変嬉しく思います。今年は、2021年から24年にかけての両国関係のロードマップとなる「日本・ポーランド間の戦略的パートナーシップ実現のための行動計画2021-2024」が署名される予定です。新型コロナウイルス感染症によるパンデミックの最中ではありますが、日本とポーランドは、相互の友情という強固な架け橋で結ばれ、新たな飛躍の世紀を歩もうとしています。