拡大する直木賞の受賞が決まり、記者会見にリモート参加した馳星周さん=15日、東京都千代田区
新宿・歌舞伎町の暗黒社会を活写した「不夜城」から約四半世紀。7度目の候補入りで直木賞を射止めた馳星周さんが選考当日を過ごしたのは故郷の北海道・浦河町だった。受賞に際して、エッセーを寄せてもらった。
はせ・せいしゅう 1965年、北海道生まれ。編集者などを経て、96年『不夜城』で作家デビュー、吉川英治文学新人賞を受賞。『鎮魂歌 不夜城Ⅱ』で日本推理作家協会賞。20年、『少年と犬』で直木賞。
二年前、長い間ご無沙汰していた故郷に、とあるテレビ番組のロケで訪れた。それがきっかけで、夏の二ケ月を北海道の浦河町で過ごすことになったのだ。
競走馬の生産と漁業の町である。わたしが住んでいた頃は二万前後の人口だったが、今は半減している。
そんな過疎の町で、わたしが子供の頃通っていた銭湯と映画館が残っていた。
銭湯は「まさご湯」という。当…
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