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 2月中旬以降、和歌山県内でも新型コロナウイルス感染者の確認が続く中、県がこれまでの対策を振り返った報告書をまとめた。国内初の院内感染やクラスター(感染者集団)の発生などへの対応を記録に残し、今後への教訓として残そうとしている。

 「想定外のシナリオ」「体力、気力が弱りかけていた」。「未知のウイルスとの連戦 2020の秘話」という題のA4判52ページの報告書に、率直な言葉が並ぶ。2月中旬に、院内感染が明らかになった済生会有田病院(湯浅町)や中学校でのクラスターの発生などについて、感染者の行動から推定される感染経路や、対策を中心にまとめられている。対策の中心を担った県福祉保健部の野尻孝子技監が、日々の仕事の合間を縫って書き続けたものだ。

 医師2人、患者3人の感染が確認された済生会有田病院の対応を通じて、感染者を個室対応することで院内の感染拡大を予防できるのではないかと指摘。感染者の中には消化器症状を示す感染者がいることから、トイレなど共用部分での「接触感染予防対策が重要」と記した。

 4月上旬から、教員8人の感染が確認された紀の川市の中学校。感染が拡大したことについて、新年度になり、教員が職員室で机を移動したことが原因と推定した。感染した教員のうち、7人が机の移動に参加していた。感染した人が呼気を発するような運動をしたため、「ウイルスが広く拡散し、それを吸い込んだ別の人に感染させたのではないか」と分析した。

 4月下旬には、橋本市内のデイサービスセンターでも、職員2人、利用者3人の感染が確認された。高齢者のケアは密接になるため、感染が広がりやすい。「いつもと違う症状が入所者に見られた場合は、嘱託医と保健所など行政に迅速に報告することが重要」と強調した。

 報告書は7月、紀伊半島知事会議で示された。会議の資料として、県のホームページ上で公開されている。野尻技監は「自分の頭の整理もかねて、報告書にまとめた。今後の対策につなげたい」と話した。(藤野隆晃