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(31日、東東京独自大会 関東第一 10 - 0 淑徳)

 五回裏、快音を響かせた白球が右翼に伸びていく。すでに大量リードをしていたが、一塁側の関東第一ベンチでは米沢貴光監督をはじめ、全員がお祭り騒ぎだった。二塁で満面の笑みを浮かべる久保田大輝(3年)を祝福した。

 昨夏の東東京の王者・関東第一。いつもならベンチ入りメンバーは実力主義。学年は関係ない。だが、コロナ禍での今大会は特別規定で、期間中に選手入れ替えができる。米沢監督は3回戦までは3年生だけで戦うと決めていた。3年生部員は20人。最上級生の全員が背番号をつけた。そして、「あいつに打たせたい」と全員が思いを寄せていたのが久保田だった。

 昨秋の練習中。打球を追いかける外野手の久保田の右ひざが突然、「バキッと音がした」。膝蓋骨(しつがいこつ)の骨折だった。久保田は「あの瞬間、終わったと思った」と振り返る。手術を2度受けたが、まだ全力で走れない。だが、腐らずに黙々と裏方仕事に徹してきた。

 24―0で圧倒した初戦の2回戦は20人全員が出場。久保田のバットから快音は聞かれなかった。そしてこの試合。適時二塁打で、高校最後の打席を終えた。

 関東第一は次の4回戦から1、2年生を入れる。「みんなで僕に回してくれて、最高の打撃ができました。次からはスタンドで思いっきり応援します」。東京一をめざし、後輩に背番号を譲る。=大田(抜井規泰)