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 夏の甲子園と鳥取大会の中止を受けて開かれた鳥取県の独自大会「2020年夏季県高校野球大会」は、倉吉東の優勝で幕を閉じた。新型コロナウイルス対策を講じながらの異例の夏。24校22チームによる熱戦を振り返る。

 倉吉東はどんな逆境でもあきらめない姿勢で25年ぶりの夏の優勝をつかんだ。強さを象徴していたのが倉吉総合産との初戦。リードされる展開となったが、九回に2死から同点打を放ち、延長戦に持ち込んだ。タイブレークの十一回には満塁本塁打を浴びたが、裏の攻撃で5点を奪って試合をひっくり返した。3試合で1点差の激闘を制して勝ち上がり、決勝でも逆転勝ち。有山彰監督は「想像以上の成長を見せてくれた」と、試合を積み重ねる中での選手の変化を感じていた。

 準優勝の鳥取城北は投手陣の層の厚さが光った。準決勝までの3試合は4人が登板し無失点に抑えた。昨秋はけがに悩まされた松村亮汰(3年)が復活し、連合チーム(米子・日野・境港総合)との初戦は公式戦初先発の寺坂楽斗(3年)が力投。中川央(同)は米子工との準決勝で初完投・初完封を果たした。

 10日に甲子園である交流試合で明徳義塾(高知)と戦う。決勝では乗り切れなかったリズムを取り戻し、粘り戦いを期待したい。

 昨秋は結果が出なかった学校も奮闘した。1回戦でコールド負けの米子工、初戦でコールド負けの倉吉北が4強入り。同じく初戦敗退の倉吉西は選手わずか13人で8強入りを果たした。

 今大会は原則無観客で、新型コロナウイルス対策が徹底された。試合ごとにベンチの消毒を実施。控え選手はマスクを着け、マウンド上に集まる選手はグラブで口元を覆った。

 異例ずくめの夏に選手たちは複雑な思いを抱えながらも、試合後のインタビューでは野球ができる喜びや感謝を語った。勝敗にかかわらず、「全力を出し切った」と話す選手も多かった。悩みながらも何とか最善を尽くそうとする前向きな姿勢が印象的だった。(宮城奈々)