サンパウロ=岡田玄
南米ブラジルは、新型コロナウイルスの感染者が270万人を超えた。最初に感染者が確認され、3月下旬から外出自粛が続いてきた最大都市サンパウロでは、高止まりながらも新規感染者数が横ばいになり、7月からはレストランも営業再開が認められた。だが、客席間の距離や営業時間の規制もあり、にぎわいが戻ったとは言えない。
拡大するパモーニャを持つイリスさん(左)と次女のマリアナさん=2020年6月24日、サンパウロ、岡田玄撮影
レストランばかりではない。経済の停滞に伴い、廃業する店や事業者が相次ぐ。街には、シャッターを閉めたまま、「貸します」と看板を掲げた店も目立つ。
失業した人もいる。サンパウロ市東部のモオカ地区に住むイリス・ロペス・アウベスさん(50)もそんな1人だ。30年近く働いたグラフィックデザイン事務所を、5月に解雇された。食べていくには何か仕事をしないといけない。でも、コロナ禍で雇ってくれる仕事はない。どうしよう。
拡大する引き裂いたトウモロコシの皮をつないでひも状にし、「昔はこうやって縛っていた」と次女のマリアナさん(右)に説明するイリスさん。現在は輪ゴムで縛っている=2020年6月24日、サンパウロ、岡田玄撮影
「ママ、パモーニャを売ってみたら?」
娘たちが言った。
パモーニャは、トウモロコシから作るブラジルの伝統的なおやつだ。モチッとした食感はケーキのようでもあり、固いゼリーのようでもある。手軽に食べられるため屋台の定番で、ブラジルで好きな人は多い。
イリスさんは以前から時々、パモーニャを作っては、近所にお裾分けしていた。おいしいと評判で、「次はいつ作るの?」と尋ねられるほどだった。だから、自信はあった。
5月半ば、近所の人たちにパモ…
この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。
この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。
この記事は有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。
この記事は有料会員記事です。
残り:2461文字/全文:3037文字
2種類の会員記事が月300本まで読めるお得なシンプルコースはこちら
速報・新着ニュース
あわせて読みたい
PR注目情報
※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。
朝日新聞国際報道部