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(2日、京都独自大会 北稜11-3福知山成美)

 三回表2死満塁、北稜の3番打者、岡優之介君(3年)は自分を奮い立たせて打席に立った。ここで点を取り、「エースの池田(晨之介(しんのすけ)君、3年)を、早く楽にさせてやる」と。

 相手投手は、この回途中から登板したエース、山中光君(3年)。サイドスローからの変化球がコースを絞りづらく、打ちにくいと評判の好投手だ。

 初球と2球目は外角のスライダー。打ちごろに見えたがバットは空を切った。「直球に狙いを定めて」と自分に言い聞かせ、心を落ち着かせる。ボール球を見送って5球目、内角低めのストライクゾーン内へゆるいスライダーが来た。「これだったら打てる」とフルスイングした。

 打球が左翼方向へ飛ぶのが見えて、「二塁打かな」と猛ダッシュ。一塁を回ったところで歓声が聞こえて、気付いた。満塁ホームランだ! ベンチでは「えぐい」「すごいな」と大喜びの仲間が待っていた。

 これを皮切りに、打線は爆発。この日に備えて重ねてきた、サイドスロー対策の打撃練習の成果が実を結んだのだ。下位打線を中心に計13安打。終わってみれば圧勝だった。

 「こんな試合見たことない。本当は守備のチームやで」。手島健守監督(59)は驚きを隠さない。監督いわく、北稜は「守備をかためて、ロースコアで勝つチーム」。大会初戦でも岡君が本塁打を放ったとはいえ、3回戦の莵道戦はチームの安打数わずか2で勝ち抜いたからだ。

 「僕が一番びっくりしたし、うれしい。見た人に『北稜っていいな』と思ってもらえたら、もっとうれしい」と岡君。試合後に受け取ったホームランボール2個は一生の宝物だ。(白見はる菜)