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 新型コロナウイルスの影響で部活動が制限される中、新たな練習方法を生み出したチームがある。

 西武文理(埼玉県狭山市)が3月末から2カ月間取り組んだ「デジタル合宿」も、その一つだ。実際に寝食を共にする合宿ではない。3泊4日などと一定の期間で区切り、1日の練習スケジュールに沿って、それぞれが自宅などで取り組んだ。LINE(ライン)のグループを活用し、練習開始を報告したり、アドバイスを動画にして投稿したりして共有。計10回の「合宿」を繰り返した。

 塁上でリードするときのポイントは――。

 「走塁班」班長でもある渡部真輝(まなき)主将(3年)は、動画で次の塁を狙うコツを伝えた。中学時代、陸上競技で全国大会に出場した経験がある俊足が持ち味。試合では機動力を生かした攻めの中心となる。

 3月に休校が始まった直後、佐藤圭一監督が、投手や走塁などの班ごとに練習内容を報告するよう指示したのが始まりで、その後、全部員が同じ練習スケジュールをこなす「合宿」につながった。

 初めのうちは試行錯誤が続いた。全員が同じ練習メニューをこなすのは難しかった。休校中でそれぞれに家庭の事情もある。「野球部員は野球だけに悩んでいるわけではない。家庭や進路のこともある」と佐藤監督。休校期間が長引く中、いかに「緊張感と安心感」を持って日々を過ごすことができるかに腐心した。

 思わぬ効果も生まれた。「合宿」を繰り返すうちに、連帯感、仲間との結びつきを強く意識するようになった。渡部主将は「まわりを気遣えるようになった」と言う。グラウンドでめいっぱい声を張り上げたり、しぐさでやりとりしたりすることができない中、どうすれば相手に自分の思いを伝えることができるのか、オンラインという限られた枠組みの中で、深く考えるようになったという。

 「野球はコミュニケーションのスポーツ」と佐藤監督は言う。独自大会では「合宿」で培ったこのチームワークを生かし、上位を狙う。