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 コロナ禍のお盆の帰省をめぐり、政府の説明が揺れている。新型コロナウイルス対策を担う西村康稔経済再生相は高齢者への感染の懸念から慎重な行動を求めるが、菅義偉官房長官は「一律に控えてと言っているわけではない」などと強調。一方、地方の首長からは、帰省の自粛を求める声があがる。

 西村氏は2日の記者会見で、都道府県境をまたぐ移動をめぐり、高齢者のいる実家などへの帰省に「慎重に考えないといけない」との考えを示した。菅氏は3日の会見で西村氏の発言への見解を問われ、「帰省を制限するとかしないとか方向性を申し上げたものではない」と説明。「高齢者に感染が広がる可能性もあるので、帰省に関する注意事項について専門家のご意見を伺う旨を申し上げたものだ」などと語った。

 一方、西村氏は3日の会見でも、家族旅行は問題ないとの認識を示しつつ、「おじいちゃん、おばあちゃんと過ごすとなると、また事情が変わってくる」と、重症化リスクの高い高齢者への懸念を改めて強調。「感染のリスクがあるので注意をしてもらわないといけない」と呼びかけた。その上で、週内に専門家に意見を聴いて帰省のあり方について方針を示すと語った。

 菅氏が帰省など人の移動の自粛に慎重なのは、自ら主導した政府の観光支援策「Go To トラベル」事業との整合性が問われかねないとの事情が透ける。菅氏は3日の会見でも「基本的な感染対策を徹底すれば、感染リスクをかなり抑えることができる」と指摘。観光業界が「現実的には瀕死(ひんし)の状態」だとして、支援策を継続する考えを改めて示した。

 ただ、高齢者への感染リスクを強調する西村氏と、経済への悪影響を避けることを重視する菅氏の言いぶりの違いは、国民の混乱につながりかねない。共産党の小池晃書記局長は3日の会見で「大臣によって言うことが違う。これは、危機管理において最悪だと言わざるを得ない」と、政府の説明のちぐはぐぶりを批判した。(安倍龍太郎)