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 戦国武将の織田信長が築いた安土城跡(特別史跡、滋賀県近江八幡市安土町下豊浦など)に、これまで知られていなかった「郭(くるわ)(曲輪)」と呼ばれる平坦(へいたん)地が複数あることが分かった。滋賀県が地形を赤色の濃淡で表現する「赤色立体地図」を作製し、確認した。

 赤色立体地図は、航空機によるレーザー計測で得た3次元データをもとに作られる。樹木を除いた地面の凹凸が詳しく分かり、各地の古墳や城跡の調査でも採用されている。

 安土城跡では6月に計測した。県が2019年度から進める「幻の安土城」復元プロジェクトの一環で、城跡の実態解明と「見える化」として取り組んだ。

 立体地図では、城が築かれた安土山一帯が田んぼに囲まれて浮かび上がった。南寄りの山頂には天主(天守)と本丸の跡、南側の斜面には羽柴(豊臣)秀吉ら家臣の邸宅が並んだと伝わる大規模な石段の大手道がある。

 城跡の発掘調査は、中枢部のあった南側の約2割でなされたが、未踏査の北側は分からないことが多い。

 今回の地図で、北側の尾根や谷筋に、複数の人工的な階段状の平坦面が見つかった。城の周囲に築いた「郭」とみられ、戦に備えた防御施設や寺院があった可能性がある。また、当時は琵琶湖が山裾まで迫っていたことから、入り江の郭は、船入り(船着き場)で荷物を置いた倉庫だったかもしれないという。

 県文化財保護課で安土城跡の調査を担当する松下浩さんは「城の全体像を考え直さないといけない。山全体に施設が点在し、琵琶湖を意識した高い機能を備えた城だった可能性がある」と話す。

 地図は今後、県立安土城考古博物館での展示などに活用する予定。(筒井次郎)