[PR]

 茨城県つくば市と筑波メディカルセンター病院(同市)が、PCR検査の原理やDNAの抽出を学べる動画を、1日から公開している。コロナ禍で開催できなくなった人気の医療イベントを「衣替え」した。きっかけは休校中、動画で知的好奇心を高める娘の姿を見た病院職員の発案だ。

 市と病院は3年前から、医師や看護師、臨床検査技師など医療人材を目指す中高生向けに「つくばメディカル塾」を開催している。人形などを用いた気管挿管や縫合、医療現場で使われる画像技術を用いた病理診断が体験できる。県外からも応募があり、時には競争率が3倍近くになる人気イベントだ。これまでにのべ574人が参加した。

 しかし今年度は、コロナ禍で7月までのイベントがすべて中止に。同病院が、今後の方向性を模索していた4月、事務職員の小林祥子さん(40)が動画発信を思いついた。

 小林さんには小4と中1の2人の娘がおり、3月から続く休校期間中は、自宅に2人を残して出勤していた。2人は、市が制作した様々な分野の第一線の研究者が研究内容を発信する動画を見て過ごした。2人は珍しい品種のメダカを自宅で飼っていて、動画をみたことで遺伝子について関心が高まり、「研究計画書」を書き始めた。

 その様子を見た小林さんは「メディカル塾にも活用できる」と感じ、動画配信を軸屋智昭・病院長(63)らに提案。コロナ感染拡大で注目を集めるPCR検査に絞り、現場の臨床検査技師の協力を得て、検査の原理や、検査に従事する臨床検査技師の仕事の紹介動画など計3本を制作した。

 このうち1本は、中高生だけでなく、小学生が自由研究にも使えるように制作した、家庭でもできる「DNA抽出実験」だ。食塩水を口に含んで唾液(だえき)から抽出したDNAに、台所用洗剤と無水エタノールを混ぜると、コップ内にふわふわと浮くDNAが肉眼で観察できる。

 小林さんは「対面のイベントは難しくなったが、動画なら、誰でも何度でも試聴できる利点がある。コロナ禍で病院に物資を提供してくれた地域に恩返しをしたい」と意義を語る。

 公開は23日まで。無料。市が運営するサイト「つくばSTEAMコンパス」か、同病院のホームページから視聴できる。(鹿野幹男)