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 世界を襲う新型コロナウイルス感染症は、社会のありようを変えようとしている。働き方もその一つ。政府が7月、「ポストコロナ」に向けて決定した国の政策運営の土台「骨太の方針」でも、テレワーク促進やイノベーション投資などの文字が躍った。

 一方、コロナ危機では、医療従事者らテレワークできない現場は悲鳴を上げている。一体、私たちはどちらに進むのか。政治家や官僚にたずねても、納得の行く答えは返ってこない。

 そこで近著「武器としての『資本論』」(東洋経済新報社)で資本主義社会の問題点に切り込んだ京都精華大学専任講師の白井聡さん(42)=政治学、社会思想史=に聞こうと思いついた。これから私たちは働きやすく、そして豊かになるのでしょうか。

しらい・さとし 1977年生まれ。専門は政治学、社会思想史。著書に『永続敗戦論』『「戦後」の墓碑銘』『国体論 菊と星条旗』など。

    ◇

 ――マルクスが「資本論」を書いたのは約150年前。白井さんはそのマルクスの入門書として、「武器としての」を著しました。社会経済活動は当時と大きく変わっています。なぜ今、「資本論」なんですか。

 資本主義の本質は、マルクスが19世紀に見ていたものと現在のものと、実は変わっていないんです。今も第一級の、最も有力な資本主義の分析の体系を世の中に知らしめないといけないと思ったからです。

 ――どういうことですか。

 近代資本制社会には、生産力がどんどん上昇していくような回路がビルトイン(組み込む)されています。資本のために生産性を上げているのに、自分のために生産性を上げているのだという錯覚も生じてくるんです。そうした資本主義の分析について、大学でしっかりと教えていない。

 今、「働き方改革」が叫ばれていますが、その直接の原因のひとつが、電通の新入社員の過労自殺問題です。なぜそこまで追い込まれてしまったのか。資本と労働の利害は一致しない、敵対するという根本への理解があれば、防げたのではないか。この悲劇はそうした認識を与えなかった教育の敗北でもあるはずです。資本論の分析が、若い人たちを守る「武器」になるのではないかと思っています。

 ――著書では、マルクス後の「新自由主義」についても論じています。新自由主義とは、規制緩和による市場原理主義の重視が特徴です。そのことについて、白井さんは「人間の感性までもが資本に包摂されてしまう」事態をもたらしたと批判し、資本主義が人間の魂までも奪っていると言い切っています。

記事後半では、新自由主義のひずみから、「GoToトラベル」の背景まで、解説してくれました。

 新自由主義の価値観とは、人間を資本に奉仕する道具としてしか見ていない、ということです。だから生産性のない人間は、他人の生産性の足を引っ張る存在だという価値観に結びついてしまう。

 象徴的なのは、神奈川県相模原…

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