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(3日、愛媛独自大会 新居浜商 7 - 5 小松)

 7点を追う四回表。1死一、二塁の好機に、小松の主将・北龍輝君(3年)が打席に入った。ベンチから声が飛ぶ。「顔が怖いぞ」。笑顔になり、バットを構えた。

 「今年は『AKB』や」。昨夏の新チーム発足後すぐ、宇佐美秀文監督に告げられた。AKBとは「笑顔(ええ顔)・感謝・ビッグボイス」の略。北君が主将なら、と監督が考えてくれたチームのモットーだ。

 宇佐美監督が北君に主将を任せたのは、彼の元気を買ったから。「真面目すぎて悩みを抱え込むわけでもない。よう声を出して、チームを盛り上げてくれると思った」。だから、モットーに「ビッグボイス」を盛り込んだ。

 そして「感謝」。北君はまず両親の顔を思い浮かべた。しまなみ海道が通る、今治市の大島出身。小松に入学し、寮に入った。泥だらけになったユニホームを、初めて自分で洗った。「親がやってくれたことが、どれだけすごいか、わかりました」

 一緒に戦ってきた仲間たちにも感謝している。自分は進学後も野球を続けるつもりだが、高校が最後という仲間もいる。だから「最後は優勝して、笑って終わりたい」。それが仲間への感謝になると思って、独自大会に臨んだ。

 笑顔で立った打席。左前に適時打を放ち、1点を返した。反撃の糸口をつかみ、チームはこの回3点。北君は大声で繰り返した。「気持ちで負けんな」

 追い上げは届かなかった。2点差まで詰め寄ったところで、試合終了。ただ、最後まで諦めなかった。北君は目を赤くしながら語った。「甲子園がなくなっても、ここまでついてきてくれた。みんなにありがとうと伝えたい」。口元に少し、笑顔が見えた。(照井琢見)