増田愛子
人形浄瑠璃文楽の人形の髪形を結う「床山」として、大阪の国立文楽劇場で働く八木千江子さん(37)。知識も経験もゼロで飛び込んだ職人の世界で「周りの方に支えられたからこそ、続けられた」と言います。
「身一つでいらっしゃい」。採用を告げる師匠の言葉を頼りに、スーツケース一つで東京から大阪へ向かった。あれから間もなく12年。「振り返ると前に進んでいたような感覚です」
大学卒業後、勤めた茶道教室を運営する会社は1年余りで倒産した。非常勤の公務員として働きつつ、挑戦したいと思ったのは古典芸能の裏方の職。きっかけは会社員時代に着付けを習ううち、見るようになった歌舞伎だ。美しい女形の所作や、開幕前の客席の心躍る空気を楽しむ中で「あの幕の向こうに行きたい」。思いが育っていた。
でも、求人は少なく、男性限定…
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