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 野党4党による憲法の規定に基づく臨時国会の召集要求をめぐり、自民党は4日、早期の召集に応じない方針を野党側に伝えた。野党は、憲法の規定を軽んじるかのような対応を強く批判。自民党の一部からも、新型コロナウイルス対策のための早期召集を求める声が上がり始めた。(清宮涼、安倍龍太郎)

 4日午後、国会内であった自民党の森山裕、立憲民主党の安住淳両国対委員長の会談。野党が4日前に求めた憲法に基づく早期の国会召集に、森山氏は「ゼロ回答」で応じた。

 「お盆も関係なく、国会を明日にでも開こう」と迫る安住氏に、森山氏は「付託すべき法案が定かではない」。国会で審議すべき案件が生じてから召集するのが「慣例」だとして、にべもなく断った。

 両氏はコロナ対策などを質疑するため、少なくとも関連する委員会の閉会中審査を続ける必要性は確認。ただ、森山氏は会談後、「閉会中審査に首相が出席することはあり得ない」と明言した。

 菅義偉官房長官も4日の記者会見で、召集要求に応じない理由を「いま必要なことはコロナ対策に全力を尽くすこと」と説明。「先の国会で緊急に必要な場合の補正予算もしっかり確保している」とも語った。

 6月に成立した今年度第2次補正予算に、政府は具体的な使い道が決まっていない予備費を10兆円も計上。野党側は「国会軽視というより国会無視。国会をやりたくないのが見え見え」(共産の志位和夫委員長)と批判していた。巨額の予備費は実際に政府・与党の「国会回避」の便法に使われた形だ。

 政府・与党は9月に想定される内閣改造と自民党役員人事の後、10月以降に臨時国会を召集する方向で調整している。安倍晋三首相は4日夕、首相官邸で記者団から早急に臨時国会を開く考えがあるか繰り返し問われたが、「コロナ対策を含め、与党としっかり相談して対応していきたい」と述べるばかりだった。

「立法府が果たすべき責任は山積」

 政府・与党はなぜ国会召集に後ろ向きなのか。自民ベテランは「いま国会を開いても、政権の傷口を広げるだけだ」と語る。

 緊急事態宣言の解除後いったんは減少したコロナの感染者数は、いま再び全国で拡大。野党は政府の観光支援策「Go To トラベル」が感染を広げる可能性を指摘して見直しを求める。首相の足元には、公職選挙法違反(買収)の罪で起訴された前法相の河井克行被告の妻・案里被告の陣営に自民から1億5千万円が渡っていた問題なども横たわる。

 こうした中で、首相自身、1カ月半にわたり記者会見や国会答弁に臨んでいない。

 立憲の枝野幸男代表は「危機と闘う陣頭指揮に立つ意欲も失っているなら、(首相を)辞めるべきではないか」。国民民主の玉木雄一郎代表も「健康・経済・生活を守るための法改正も含め、立法府が果たすべき責任は山積している」と批判の声を上げた。

 コロナ禍による経済へのダメージが深刻さを増す中、自民内からも「早期召集論」が出始めた。4日の党総務会で、川崎二郎・元国対委員長は「野党に言われてでなく、こっちから国会を開いて3次補正予算をまとめるべきだ」と主張。3日の党コロナ対策本部でも、休業要請に法的拘束力を持たせるための法整備に向け「国会を早期に開いてほしい」との声が出席議員から出たという。(清宮涼、安倍龍太郎)