「片思い」から始まった暴行 女性の遺棄に至るまで
藤田大道
愛知県豊田市の山中で昨年2月、女性(当時31)の遺体が見つかった。女性に暴行を加えて死なせ、遺体を遺棄したなどとして起訴されたのは2人の女。うち1人は、女性の友人だった。凶行に駆り立てた理由は、淡い恋心だった。
6月22日、名古屋地裁で開かれた裁判員裁判の初公判。傷害致死と死体遺棄などの罪に問われた清掃業の被告(38)は、背を丸め、周囲をおびえたように見回しながら、証言台の前に立った。背中の真ん中あたりまで伸びた髪は一つに結ばれていた。
「被告は、無職の女(35)と共謀し、2019年2月ごろ、名古屋市中区のマンションの一室で、同居していた知人の女性の顔を複数回蹴るなどの暴行を加えて死亡させたもの」「その遺体を車で運んで豊田市の山中に遺棄したもの」
検察官が起訴状を読み上げると、被告はゆっくりとした口調で答えた。「死体遺棄については認めます。暴行はしましたが、死につながるものではありませんでした」
冒頭陳述などから事件をたどる。
被告は小学校から高校まで…

きょうも傍聴席にいます。
事件は世相を映します。傍聴席から「今」を見つめます。2017年9月~20年11月に配信された30本を収録した単行本「ひとりぼっちが怖かった」(幻冬舎)が刊行されました。[もっと見る]