コロナ禍の中で、権力は生に介入する 東浩紀さんの懸念

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聞き手 編集委員・塩倉裕
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 生き延びること以外の価値はないのか。新型コロナウイルス危機に揺れる欧州で発せられた哲学者の問題提起が論議を呼んでいる。命とは、社会とはそもそも何なのかを根底的に問い直そうとする試みだ。コロナ禍がもたらす苦悩に対して哲学は何を提示できるのか、という問題でもある。批評家の東浩紀さんに聞いた。

 ――政府が緊急事態宣言を出したのは4月7日でした。その前日に東さんはツイートをしましたね。コロナ自体はペストやエボラ出血熱ほど危険ではないのだと注意喚起した上で、運よく犠牲にならずに済む人々には「社会を守っていく」という「責任」がある、との内容でした。

 「社会的活動は自粛すべきだという空気だったので、批判も浴びました。もちろん、たとえばウイルスで人口の1%すら死んでしまうとしたら大変な事態です。でも、残りの99%がその1%の死を無駄にしないよう自由で文化的な社会を次世代に受け継ぐことも大事なのでは、と思いました」

 ――コロナ危機の中で今回…

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