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(4日、東東京独自大会 大森学園6-5二松学舎大付)

 最後の打者が打ち取られた。高々と上がった打球は、二松学舎大付の秋広優人(3年)が二塁を回ったところで、相手のグラブに収まった。「終わってしまった」。足が止まり、雲一つない夏空を仰いだ。

 身長2メートルの秋広は中学時代、成長痛に苦しんだ。ひざが故障したような状態で入学した秋広を、市原勝人監督は「どうすれば投手として大成させられるか」と考え、歩き方から指導した。

 高身長をいかした2階から投げ下ろすような投球。高校通算23本塁打の長打力。秋広は投手としても打者としても、プロが注目する選手となった。そして、市原監督を「返しきれない恩を受けた人」と慕い、「必ず『東京一の男』にしてみせる」と誓っていた。

 準々決勝の先発マウンドを託されたが、球が走らず、3失点で四回途中で降板した。

 しかし、打撃で見せた。

 5点を追う七回。2点を返し、なお2死満塁で打席が回った。「絶対につないでみせる」。強烈な打球は中前に抜け、2点を追加。1点差に詰め寄った。

 だが、ここまでだった。九回にも2死二塁で打席が回ったが、勝負してもらえなかった。敬遠され、次打者が倒れ、「東京一」の夢が散った。

 整列を終え、ベンチに戻ると、市原監督と目が合った。監督の笑顔を見た瞬間、泣き崩れた。

 監督を東京一に、という思いは届かなかった。プロで活躍して恩返しすると、心に誓った。=大田(抜井規泰)