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 誕生から100年を超える高校野球にとって、コロナ禍の2020年は試練の年になった。春の選抜も、夏の全国選手権も中止。各地で独自大会が開催され、甲子園では交流試合もあるが、原則無観客だ。しかし、球場で観戦できなくても、映画がある。高校野球の新旧ドキュメンタリー映画の2作品の劇場公開が、このほど決まった。

 1本目は、1968年の第50回全国高校野球選手権記念大会を映画化した「青春」。「ビルマの竪琴」や、「東京オリンピック」で知られる巨匠・市川崑が熱望してメガホンをとった記録映画だ。

 かじかんだ手でバットを握る雪国の球児。都会の球児は、狭いグラウンドを他部と分け合って練習に励む。耳をつんざく飛行機の爆音の下、試合に臨む沖縄の球児。甲子園での試合はもちろん、全国各地の練習風景を丁寧に描写した。

 制作費は1億5千万円(当時)で、全編オールカラーの約97分。タイトルは一般公募された。甲子園には20台以上のカメラと約120人のスタッフが入り、連日の熱戦を撮影した。

 もう1本は、「甲子園:フィールド・オブ・ドリームス」。米国を拠点に活動する映像作家の山崎エマとNHK、NHKエンタープライズなどの共同制作で、2年前の第100回全国高校野球選手権大会に向かう、神奈川・横浜隼人と岩手・花巻東を取材し、1年を通じて、甲子園を目指す指導者、球児、そして家族の日常まで丁寧に追った。

 NHKで2018年に「ノーナレ 遥かなる甲子園」、19年に「HOME 我が愛しの甲子園」として放送された2本に、新たな映像も加えて94分に再編集。米国でも昨年、ドキュメンタリーを対象にした映画祭、「DOC NYC」で上映され、今年6月にはスポーツ専門チャンネル「ESPN」で放送されている。

 山崎さんは、「夏の甲子園100回大会の年に撮影した本作に出演した当時の1年生は、今年の3年生で、つらい思いを秘めて最後の夏を過ごしていると思います。市川崑監督の名作『青春』とともに、また高校野球が本来の姿を取り戻すまでの『つなぎ』の一つとして、そしていま一度この日本の風物詩を見つめ考える機会として、本作が役に立てばと願っています」とコメントした。

 「青春」は14日から、「甲子園:フィールド・オブ・ドリームス」は21日から、東京・丸の内TOEIや、アップリンク渋谷など全国で順次公開される。詳しい情報は公式ホームページ(https://koshien-movie.com別ウインドウで開きます)へ。(山下弘展)