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 頂点を決めるにふさわしい逆転につぐ逆転劇。徳島県高校優勝野球大会は5日、鳴門市のオロナミンC球場で決勝があり、昨夏の甲子園メンバーを擁する鳴門が、1、2年生中心で強打を誇る徳島商をねじ伏せ、「夏の3連覇」を果たした。

 準々決勝と準決勝を連続完封で引っ張ったエースに試練が訪れた。

 二回表1死一塁、打席に入った鳴門の藤中壮太投手(3年)はバントの構えからバットを引いた瞬間、右手首に死球を受けた。次第に痛みは治まったが、終盤まで右手の小刻みな震えに悩まされた。

 「外角を狙われている」。そう気付き内角を狙うと、今度は自分が死球を与えた。そこから「ほんの少し真ん中寄りに集まった」。徳島商打線はその隙を見逃さず4連打を浴びた。計5点を献上。「抑えなければ」と焦り七回も1点を失った。今大会初めてマウンドを試合途中で坂田滉太投手(3年)に譲った。

 試合は劣勢のまま九回に。先頭打者が出塁したが藤中君は中飛に終わり、ベンチから祈るような気持ちで、味方の反撃を待った。次打者は四球。昨夏の甲子園で共に戦った田口史樹主将(3年)と岸本拓也君(2年)の連打で同点とし、敵失で逆転した。

 九回裏、再びマウンドに立った。駆け寄ってきた田口主将は「最後やけん頼むぞ」。140キロ台中盤の速球と低めの変化球で打ち取るスタイルが戻った。最後の打者を直球で押し、内野ゴロに打ち取った。

 「この試合がこれまでの野球で一番つらかった。そして、一番デカい喜びも体験できた」(雨宮徹)