拡大する写真・図版ローストビーフは低温調理で人気のメニュー。食感が通常調理と違うのだそうです。これは週末にちょっと奮発してデリで買ったもの

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 しっとり軟らかいローストビーフやチャーシュー、サラダチキンが作れると注目されて、低温調理が広がっています。元々はプロ向けに業務用が中心だった低温調理器ですが、家庭向けの様々な機種が販売されるようになり、挑戦のハードルが下がりました。ただ、食中毒を防いで安全に調理するには注意が要ります。東京都はいま、「低温調理の安全性を科学する」というウェブ講座を開催中(※1)。受講してみると、知っておきたいチェックポイントがいくつもありました。

人気の反面、危うさも

 低温調理は、煮たり焼いたりという通常の加熱調理よりも低い温度で時間をかけて調理することを意味しますが、法律上での定義はありません。食材を袋に入れて空気を抜き、温度を一定に保って湯煎する方法が主流で、家庭用の低温調理器はだいたい、太い棒状の形で加熱コイルと湯に対流を起こすサーキュレーターを内蔵、深鍋などにセットし、設定した時間と温度で湯煎ができる仕組みになっています。肉を50~60度台で加熱するとたんぱく質の変成が抑えられて硬くならず、肉汁も流出しないため、軟らかくジューシーな食感が味わえるところが人気のようです。いったんセットすれば機械任せにできるので、火の加減を見る必要もなく手間がかからないことも、受けている要因にあげられます。

 しかし、食中毒を防ぐため、肉は十分に加熱する必要があります。低温調理が広がるにつれ、加熱条件を満たしていない調理事例が増えることを危ぶんだ東京都が、注意喚起をするべく、今回のウェブ講座を企画しました。

 講座は2部構成。最初に、科学的な食品衛生管理の教育・指導に携わっている今城敏(いまなりさとし)・ロイドレジスタージャパン社執行役員が、微生物学的な観点から低温調理の加熱条件について講義します。そして、実際に低温で調理してみた実験の動画があります。

何分加熱すればいい?

 肉には腸管出血性大腸菌やカンピロバクターといった細菌やE型肝炎ウイルスなどのウイルス、寄生虫が付いている可能性があり、十分な加熱が必要です。微生物は種類によって死滅する温度は異なり、肉の種類によっても熱の伝わり方が変わるので、必要最低限の加熱温度と時間を厳密に割り出すのは難しい作業になります。

 厚生労働省は肉の食中毒防止の条件として、肉の中心部を75度で少なくとも1分間という目安を示しています。それより低い温度で調理する場合、加熱時間は長くしなくてはなりません。75度1分と同等とみなされるのは、70度では3分、65度では15分とされています。さらに低い温度だと、63度で30分、計算上は58度だと126分ということになります。

 湯の中に袋に入れた肉を漬けて…

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