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(6日、阪神11―0巨人)

 巨人が異例の策に出た。八回、堀岡隼人が阪神の中谷将大に左越え満塁弾を浴び0―11となって降板。内野手登録の増田大輝がマウンドに立った。27歳はアマで投手経験はあるが、プロ初登板だった。近本光司を二ゴロに仕留め、四球を挟み4番大山悠輔は右飛。最速138キロの直球を含む13球で無失点で締めた。大リーグではよくあるが日本では珍しい。原監督は「堀岡を続投させる方がはるかに相手に失礼。チームとしての最善策」。

9月以降の過密日程見据える

 その瞬間、目を疑った。6日に甲子園で行われた阪神と巨人の7回戦。0―11で迎えた八回1死から、巨人はマウンドに内野手の増田大輝を送ったからだ。大差の試合で野手が登板することは大リーグではよくあるが、日本では珍しい。その背景には、コロナ禍で開幕が遅れた今季ゆえの理由があった。

 5番手の中継ぎ右腕・堀岡隼人が1死満塁で阪神の代打・中谷将大に左越え満塁本塁打を浴びた。だめを押された原辰徳監督は、球審に投手交代を告げた。「一つの作戦だからね。投手コーチが彼を選んだ」

 甲子園では救援投手はリリーフカーで登場するが、増田大は三塁側ベンチから小走りでマウンドへ。打者3人を相手に最速138キロの直球とスライダーを交えて無失点。この回を終わらせた。27歳は「いい経験をさせてもらった。甲子園で投げられて、うれしくなりました」と振り返った。

 巨人ベンチは、野手を登板させるシナリオをかねて想定していた。増田大は徳島・小松島高3年の2011年夏には背番号「1」で4試合に投げていた。延長やけがなどで投手が足りなくなった場合、兵庫・報徳学園高で投手経験のある捕手の岸田行倫とともに、登板の可能性があることを本人たちに伝えていたのだ。

 この試合、巨人ベンチにはまだ4投手が残っていた。だがいずれも勝ちパターンや接戦で起用される投手で、うち2人は5日に登板していた。9日までの6連戦の3戦目で、ブルペンに無駄な負担をかけるわけにはいかなかった。

 特に開幕が遅れた今季は、毎週のように6連戦が組まれ、9月には13連戦が控えている。「連戦、連戦、連戦の中で、あそこをフォローする投手はいない。チームにとっての最善策」と原監督。本格化した暑さに加え、9月以降の過密日程を見据えての一手だった。

 ただ、心中穏やかでないのは打たれた堀岡と、投手コーチ陣だろう。宮本和知・投手チーフコーチは言った。「監督との話の中で、連戦中だから、投手を使うわけにはいかないと。マウンドは投手から投手に渡すのが筋。これは私の責任。堀岡が抑えきれず、こうなった。屈辱的。投手陣の心にどう響いているかだと思う」(松沢憲司)